【令和版】若者がシェアハウスを選ぶ理由~賃料を節約して株式投資の元手資金にしたい~

先日、都内の某シェアハウスに住んでいる28歳の男性の方とお話をする機会がありました。20代にして、年収が4桁万円の大台に乗っていて凄いなぁと思ったのですが、更に凄いと思ったのは、私がシェアハウスに住んだ理由を聞いたことに対する彼の回答でした。



シェアハウスに住もうと思った理由は、賃料を節約して、株式投資の元手資金に少しでも多く回したいです。



私が20代の頃は、株式投資など一切やったことがないのですが、28歳の方は勉強熱心で、様々な銘柄の分析されておりました。こっそり、これから上がりそうなオススメ銘柄なども教えていただき、20代の頃の自分と比べるとただただ驚くだけでした。10年前にも20代後半の若い方に、シェアハウスに住む理由を聞いたときは、



賃料を節約して、浮いた分で海外旅行に行きたい!



という方がよくおりました。この10年で何がかわってしまったのか、株式投資をする層が、シェアハウスに入ってくるようになった背景をちょっと調べてみようと思いました。




新型NISA導入が若手の投資熱を大きく刺激


テレビCMやYOUTUBE・TiktokなどのSNSでも多く流れているので、ご存じの方も多いかと思いますが、2024年から新NISAが導入され、非課税投資枠の大幅な拡大と制度の恒久化が実施されるようになりました。精度の概要は以下の通りです。



成長投資枠 つみたて投資枠
併用可能
年間上限240万円年間上限120万円
生涯非課税限度額1,800万円
非課税保有期間 無期限


成長投資枠とつみたて投資枠と大きく2つの枠があって、両方を併用すると年間360万円も(売却益に対して)無課税にて投資をすることが可能となりました。年間360万円というと、かなりの金額になります。この上限までフルに活用することを考えると、収入が多くあったとしても、節約意識が高まるのかもしれません。

独身で1,000万円程度の収入があった場合、社会保障や税金などを差し引くと、手取りでは、730万円前後になります。ここから、360万円を投資に回すと、手元に370万円に残ることに。この中から毎月の生活をしていくと、約31万程度になります。20代で1,000万円の収入は、かなりレアケースなので、多くの方は、この数字よりも更に少ないと思います。そうなると、投資・資産運用に熱心な方ほど、毎月発生する賃料の節約は、最重要課題と捉えることができるでしょう。

日本証券業協会が公開しているデータを確認すると、2023年1~3月の1か月平均のNISA口座開設件数は、約18万件。それに対し、2024年2月の1ヶ月のNISA口座開設件数は、約53万件とこの1年間で約3倍近い伸び率を示しております。今まで投資をしてこなかった層にも、株式投資が普通のことになってきているのでしょう。

なお、2022年からは高校での金融教育の義務化が始まっており、若ければ若いほど、そして将来や年金に対して不安が強ければ強いほど、投資に対する苦手意識みたいなものが薄くなり、大きいリスクを取れるようになって、軍資金確保のために節約意識が高まっていくことが予想されます。




東京(特に23区)の賃料が高すぎる


シェアハウスではなく、一般のワンルーム賃貸でも安い物件はあると思いますが、安い物件は数がどんどん少なくなってきており、住みたいと思ってもなかなか住むことが出来ない状態になってきました。コロナ禍以降、東京の不動産(土地・建物)価格全般が上昇し、それに伴い賃貸相場も上昇傾向にあります。

HOMESのデータによると、2024年3月には、シングル向け賃貸物件の平均賃料が10万円超えてしまったようです。1年前(2023年3月)の賃料と比べると、8%以上のアップです。余談ですが、ファミリー向け物件は、前年比15%以上の賃料アップと、更に上昇率が大きくなっております。2022年3月のシングル向け賃貸物件の平均賃料が約9万円だったことを考えると、残念ながらこの傾向はしばらく続くのかもしれません。



> 東京23区シングル向け賃貸相場 <

2023年3月2024年3月
93,744円101,232円


上記は、ワンルームや1Kといった賃貸物件ですが、ことシェアハウスに関して言えば、ワンルームほどの平均賃料の上昇は見られておりません。逆に、2020~2023年中頃のコロナ禍では、集団生活が敬遠されていたので、シェアハウスの賃料は下落傾向にありました。もちろん2024年頃からもとの賃料に戻りつつありますが、それでもワンルームとシェアハウスの賃料には大きな差が生じております。



エリアワンルームの相場シェアハウスの相場差額
渋谷区114,000円71,489円42,511円
世田谷区89,100円63,289円25,811円
中野区86,500円62,973円23,527円


渋谷区では、ワンルーム賃貸の相場とシェアハウスの賃貸の相場の差が約42,000円もあります。これを、年間に計算すると504,000円になります。この数字を見ると、シェアハウスに引っ越して(かつ今住んでいるエリアを変えることなく)、賃料を抑えて、年間50万円も多く、株式投資(人によってはレバレッジを効かせて、不動産投資)に回すって考えるのは、上策のように見えますね。




節約志向でも、その節約の目的が10年前と変わってきている


この10年で、社会環境も大きく変化し、それに伴って若い方の意識も大きく変化していると思います。特に、金融庁が「老後30年間で約2,000万円が不足する」という試算を発表した属にいう2,000万円問題(最近4,000万円問題に上方修正した?)が、給与収入だけでは、将来の備えにならないことを肌感覚で若者は理解していると思います。その結果、今後も積極的に投資を行っていくことが予想されます。その投資用資金の確保のために、シェアハウスに住む方が徐々にではあると思いますが、増えていくでしょう。あるときには、投資情報を交換するシェアハウスなども出てくるかもしれません。



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