「今の20代は大変だ」と言われることがあります。
物価は上がる。将来のお金も気になる。仕事を続けていれば自動的に給料が上がる、と単純には考えにくい。結婚やマイホームも、全員が同じ年齢で目指すものではなくなりました。
そう聞くと、今の20代は昔より不幸なのでは?と思うかもしれません。
ところが、最新のデータを見ると、話はそんなに単純ではありません。
内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2026」では、生活満足度は全体で5.86点。39歳以下では5.88点で、前年より0.11ポイント上昇しています。
しかも39歳以下では、現在の満足度5.88に対して、5年後の予想満足度は6.00。
少なくとも「若い世代は未来を完全に悲観している」と一括りにするのは違いそうです。
では、今の20代は何に幸せを感じているのでしょうか。
そこを考えていくと見えてくるのは、幸福が小さくなったというより、「幸せになるルートが一つではなくなった」という変化です。
先に結論
今の20代の幸福論は、
「成功する」より「自分で選べる」に近い。
お金は大事。でも見栄のためだけではない。固定費を抑え、趣味・旅行・推し・自己投資など、自分が満足できるものへ使いたい。
結婚は「当然のゴール」から選択肢の一つへ。結婚する・しないだけで人生の成功を決めない価値観が広がっています。
一人の自由と、人とのつながりの両方が欲しい。誰にも干渉されない時間を持ちながら、孤立もしすぎない暮らしが重要になっています。
まず、「今の若者はかわいそう」「昔より夢がない」という見方から少し離れてみましょう。
内閣府の2026年調査では、生活満足度を0〜10点で尋ねたところ、全体平均は5.86。39歳以下では5.88でした。
さらに面白いのが未来の見方です。
| 39歳以下 | 満足度 |
|---|---|
| 5年前を振り返った満足度 | 5.49 |
| 現在の生活満足度 | 5.88 |
| 5年後の予想満足度 | 6.00 |
これは20代だけの数字ではなく「39歳以下」という集計ですが、少なくとも若い層全体では、現在より5年後を少し高く見ています。
つまり、
「社会には不安がある。でも自分の人生まで全部悪くなるとは思っていない」
という人も多いのかもしれません。
出典
内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2026」(2026年3月調査・2026年7月公表)。
少し前まで、幸せな人生について語る時には、かなり分かりやすいモデルがありました。
就職する。
給料が上がる。
結婚する。
家を買う。
子どもが生まれる。
それが悪いわけではありません。今でも、それを幸せだと思う人はたくさんいます。
でも今は、その順番を全員が選ぶわけではありません。
| 人生のテーマ | 昔からある選択 | 今は選択肢が増えている |
|---|---|---|
| 仕事 | 一つの会社で昇進 | 転職、副業、フリーランス、専門性重視など |
| お金 | 収入を増やし、モノを所有 | 固定費を抑え、体験・趣味・自己投資へ回す |
| 結婚 | 一定の年齢で結婚 | 結婚する・しない・時期を決めない |
| 住まい | 実家→一人暮らし→持ち家 | 一人暮らし、シェア、同棲、実家、2拠点など |
| 人間関係 | 家族・会社・近所 | 友人、趣味、オンライン、コミュニティなど複数 |
大事なのは、どちらが正しいかではありません。
「みんなが選ぶから」ではなく、自分に合う組み合わせを自分で選ぶ。
その自由度そのものが、今の幸福感にかなり関係しているように思います。
今の20代を「物欲がない」と一言で片づけるのも違います。
高級ブランドが好きな人もいますし、車や時計にお金をかける人もいます。
一方で、旅行、ゲーム、ライブ、推し活、食事、資格、投資など、自分にとって意味のあるものにはしっかり使う人もいます。
つまり、
高いか安いかではなく、「自分が本当に満足する支出か」が重要になった。
と考えたほうが自然です。
生活費の中でも、住居費は毎月必ず出ていく大きな固定費です。
少し広い部屋。
駅に近い部屋。
人気の街。
もちろん価値があります。
でも、そのために毎月の家賃が高くなりすぎて、
旅行へ行けない。
趣味に使えない。
貯金できない。
友人との食事まで我慢する。
となれば、住まいだけ良くても生活全体の満足度は上がらないかもしれません。
「今の若者は挑戦しなくなった」
「安定ばかり求めている」
と言われることがあります。
でも、これも二択にすると分かりにくくなります。
安定した収入は欲しい。
でも会社だけに人生を預けたくはない。
仕事は頑張りたい。
でも休日まで全部仕事にはしたくない。
転職もあり。
副業もあり。
大企業もあり。
小さな会社もあり。
そんなふうに、「安定か挑戦か」ではなく、「自分で動ける余白を残したい」という価値観のほうがしっくりくる人もいるでしょう。
会社で評価される。
昇進する。
給料が上がる。
それはもちろんうれしいことです。
でも、それだけで生活すべてを満たそうとすると、仕事がうまくいかない時に人生全体までしんどくなります。
仕事。
友達。
趣味。
恋愛。
家。
一人の時間。
幸福の置き場所をいくつか持つ。
これは、かなり大事なことだと思います。
ここは、この10年ほどで特に変わったところです。
国立社会保障・人口問題研究所が2025年に実施した「第17回出生動向基本調査」では、18〜34歳の未婚者で「いずれ結婚するつもり」と答えた人は、
| 男性 | 75.1% |
|---|---|
| 女性 | 77.8% |
でした。
前回2021年は男性81.4%、女性84.3%だったので、さらに低下しています。
これは「若者が結婚を嫌いになった」という単純な話ではありません。
結婚したい人もたくさんいます。
ただ、
「人生として成功するには必ず結婚しなければならない」
という圧力が以前より弱くなっている、と見ることはできます。
同じ調査では、24歳以下で独身でいる理由として「今は趣味や娯楽を楽しみたい」が微増しています。
仕事を優先する時期。
趣味を楽しむ時期。
恋愛したい時期。
一人でいたい時期。
結婚したいと思う時期。
人によって違って当然です。
結婚する・しないを幸福度ランキングにしない
結婚して幸せな人もいれば、一人で満足している人もいます。逆もあります。
重要なのは、婚姻状態そのものより、自分が選んだ生活に納得できているかどうかです。
スマホがあれば、誰かと連絡できます。
SNSを開けば友達の近況も分かります。
オンラインゲームやコミュニティで、遠くにいる人とも話せます。
そして今は、AIと会話することだって普通になりました。
内閣府の2026年調査では、AIサービスを使う人は全体の55%で、若い層ほど利用率が高いという結果でした。
興味深いのは、AIを「話し相手の代わり」に使っている層では、「社会とのつながり」の満足度が相対的に低かったことです。
もちろん、これはAIを使うと孤独になる、という因果関係を示したものではありません。
むしろ逆に、もともと孤独を感じている人がAIを話し相手にしている可能性もあります。
ただ、ここから分かるのは、
連絡手段が増えることと、自分の居場所があることは同じではない。
ということだと思います。
人間関係は、人数が多ければいいわけではありません。
職場で少し話せる人。
学生時代からの友人。
趣味仲間。
近所の店員さん。
家で顔を合わせる人。
自分が無理せず関われる相手が複数いると、生活はかなり変わります。
住む場所は、ただ寝る場所ではありません。
毎月いくら払うか。
会社まで何分かかるか。
一人で過ごすのか。
人と会うのか。
料理できるのか。
家で仕事できるのか。
そうした生活の土台です。
実際、内閣府のWell-being調査でも「住宅」は生活満足度を見る独立した項目の一つになっています。
誰にも気を遣わない。
好きな時間に食事する。
好きなだけ静かに過ごす。
これは大きな自由です。
一人の時間が好きなら、一人暮らしはかなり幸福度の高い住み方になり得ます。
一方、シェアハウスは個室へ戻れば一人になれて、共用部へ出れば誰かと会える可能性があります。
家賃を抑えられることもあります。
広いキッチンやラウンジ、ワークスペース、ジムなど、一人暮らしでは持ちにくい設備を使える物件もあります。
ただし、人間関係や生活音、掃除ルールが合わなければストレスになります。
つまり、
「一人暮らしよりシェアハウスのほうが幸せ」という話ではありません。
自分がどのくらい一人でいたいのか、どのくらい人と関わりたいのか。
そこに合う住まいを選ぶことが大切です。
以前は「家賃が安い住まい」というイメージが強かったシェアハウスですが、今は少し違います。
生活費を抑える。
広い共用部を使う。
仕事以外の人と出会う。
趣味を増やす。
上京してすぐコミュニティを作る。
住居費だけでなく、暮らし全体を組み替える手段として選ぶ人もいます。
「幸せになるには何をすればいい?」
という問いに、一つの正解はありません。
ただ、生活を考える時には、次の4つへ分けると整理しやすくなります。
| 軸 | 考えてみたいこと |
|---|---|
| お金 | 固定費を払いすぎて、好きなことを我慢していないか |
| 時間 | 仕事・通勤に取られすぎず、自分の時間を持てているか |
| 人 | 一人でいたい時と、誰かと話したい時の両方を作れているか |
| 選択肢 | 「こうしなければ」ではなく、自分で人生を選べている感覚があるか |
収入がすごく高くなくても、自由に使えるお金がある。
大きな会社へ勤めていなくても、好きな仕事ができる。
結婚していなくても、信頼できる人がいる。
一人暮らしでなくても、自分の時間がある。
逆に、高収入でも時間がなく、孤独で、嫌な仕事から逃げられないなら幸福とは感じないかもしれません。
幸福は肩書きではなく、毎日の配分。
今の20代の幸福論を一言で表すなら、そんな感じなのではないでしょうか。
Q. 今の20代は昔より不幸なのですか?
A. 一概には言えません。内閣府の2026年調査では39歳以下の生活満足度は5.88で前年より上昇し、5年後の予想満足度は6.00でした。社会や経済への不安と、自分自身の生活満足度は分けて考える必要があります。
Q. 今の20代は何に幸せを感じるのでしょうか?
A. 価値観は人によって違います。収入だけではなく、自由時間、趣味、人間関係、住環境、自分で選べることなど、複数の要素を組み合わせて幸福を考える人が増えていると捉えるほうが自然です。
Q. 今の若者は結婚したくないのでしょうか?
A. 結婚を希望する人は今も多数派です。ただし2025年調査では、18〜34歳未婚者で「いずれ結婚するつもり」と回答した割合は男性75.1%、女性77.8%で、前回より低下しています。結婚を人生の必須条件と考えない人が増えていることもうかがえます。
Q. 一人で暮らしていても幸せになれますか?
A. もちろん可能です。一人の時間を楽しめる人にとって、一人暮らしの自由は大きなメリットです。一方で孤独を感じやすい場合は、趣味や地域、友人、住まいなど複数のコミュニティを持つ方法もあります。
Q. シェアハウスに住めば幸福度は上がりますか?
A. 必ず上がるわけではありません。人と関わることが好きな人にはメリットがありますが、生活音や共用ルールが負担になる人もいます。自分が求める距離感に合う物件を選ぶことが重要です。
「幸せな暮らし」を住まいから考えるなら、家賃だけでも、広さだけでもなく、自分が毎日の中で何を増やしたいかから探してみてください。
固定費を抑えて、趣味や貯金へ回したい
東京でも低価格帯の物件から探せます。
一人時間も欲しい。でも自然に人とも会いたい
個室と大きな共用ラウンジを組み合わせた住まいから。
仕事以外の人とたくさん出会いたい
30人以上の大型物件なら、年代・仕事・出身の違う住人と出会う機会が増えます。
女性だけの環境で暮らしたい
交流は欲しいけれど、住環境は女性専用を選びたい人へ。
男女混合のコミュニティで暮らしたい
友達・趣味仲間など、いろいろな人と暮らせる男女共用物件から。
まだ何を優先するか決めていない
街・通勤・家賃から、まず自分に合う生活圏を探す。
幸せの形は、昔より増えた。
会社で出世する人生もいい。
結婚して家族を作る人生もいい。
一人で自由に暮らす人生もいい。
友人と暮らすのもいい。
シェアハウスで人とつながりながら、自分の個室へ戻る生活もあります。
どれが上という話ではありません。
今の20代にとって大切なのは、「正しい人生」を探すことより、自分が納得できる毎日を作ることなのかもしれません。
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