「この土地は路線価より安く購入できたんです。お得じゃありませんか?」
セミナーや懇親会などでお会いする多くの不動産投資家さんから、上記のような言葉を聞きます。
しかし、私は「本当にお得なのだろうか?」と違和感を感じます。土地と言うのは、「路線価」だけで絶対的な価値ははかれるものではないからです。厳密に言えば、土地は「1物5価」になっています。5価の内容とは、次のようなものです。
国土交通省、土地鑑定委員会が毎年1月1日を基準とし、全国の基準値を調査して評価、3月下旬に発表する価格です。実際に調査するのは、国土交通省からいたくを受けた不動産鑑定士です。評価には、収益性なども加味されます。オフィシャルな価格ではありますが、決められた地域の限られたポイントのみの価格になり、「どこの土地にも公示価格があるわけではない」という特徴があります。
都道府県が発表する毎年7月1日辞典の土地価格です。1月1日時点における公示価格とともに、土地取引の目安とされています。公示価格が「土地計画区域内」を対象とするに対し、基準地価は「都市計画区域内」及び「都市計画区域内」の住宅地、商業地、工業地や宅地ではない林地も評価しています。
税金を計算するための土地価格です。相続税の場合は「相続税路線価」、固定資産税の場合は「固定資産税路線価」が基準となります。地価公示価格、実勢価格、不動産鑑定士などによる評価などを参考にして決定されます。公示価格の7~8割が目安と言われ、税務署や国税局で閲覧が可能です。
市町村の税務課(東京23区では都税事務所)にある「固定資産課税台帳」に登録してある土地や建物の評価額のことです。登記を元に固定資産税帳にとうろくされた土地、建物を現況にあわせて資産評価したもので、これをもとに固定資産税の金額が決められます。3年に1度、評価替えが行われます。
一般に不動産業者で販売されている土地の実勢価格です。「その時点での相場」で値段が変わるため、「高いのか?」「安いのか?」を見極めるのは困難です。実際の取引を行っている不動産業者に確認し、参考にするのが一般的です。
このように、土地の値段には「路線価」のほかにも様々な種類があります。にもかかわらず、多くの投資家さんが、「路線価マジック」に目を奪われ、それだけを基準に「お得か否か」を判断することを不思議に思います。