賃貸市場が激しくなってきている理由のひとつに、供給過剰があることは言うまでもありません。
2008年のデータになりますが、総務省の発表した住宅・土地統計調査の結果では、全国の総住宅数は5759万戸、そのうち空き家は756万戸ありました。2003年の12.2%から13.1%に上昇し、過去最高となっています。
総住宅数の中に賃貸住宅は2183万戸あり、そのうち空室予定は409万戸あります。これだけの数の空室があるのに、まだ過剰供給が続くということを、私達はしっかり認識する必要があります。
これだけシビアな現実があっても、ハウスメーカーや建築会社は新しいアパート、マンションを大家さんに売ることを辞めようとしません。
このような会社の営業マンたちは歩合制で働いています。ノルマを達成して売上をあげることで、自分たちの生活が守られているのですから、枯れたがアパートをうるのは当然です。彼らは、ただ、自分の職務を全うしているだけなのです。
そもそもハウスメーカーや建築会社は、住宅を建てて売ることが商売です。それが市場の動向からかけ離れていても、入居者のニーズを充たすものではなくとも、彼らにとっては大きな問題ではありません。
大手メーカーの主なターゲットは地主さんです。彼らの営業文句は「相続税対策に有効ですよ」ですが、この言葉もウソをいうわけではありません。
実際に、相続税対策に、アパート・マンションは有効なのです。
現金は100万円あれば100万円分の財産として計算されますが、不動産(建物)は100万円のお金を掛けても60万円程度の評価となり、貸家にすれば、さらに30%も評価が減少するのです。
この仕組みがある限り、アパート・マンション建設を節税対策に活用する人たちも存在し続けるはずです。
現在、彼らに狙われているのは地主さんだけではありません。属性のよいサラリーマンも同じようにセールスされています。甘い言葉にのって地獄を見ることになってはいけません。