興味深い資料があります。明治時代の都市別人口ランキングです。
1位はどこだと思いますか?東京です。2位は大阪。そして3位以下ですが、これは現代とは全く違う結果が示されています。
3位は京都です。このランキングは明治初期のものですから、江戸時代の名残は当然あります。それまでの首都は京都しでしたので、3位は納得のいく数字です。
そして4位が名古屋、5位は金沢になっています。金沢は意外な感じがしますが、「加賀百万石」といわれたくらいですので、人口も多かったのです。6位が広島で、他の和歌山や徳島がランキング10位以内に入っています。
ただし、ベストテン以内でも、各都市の人口は3万~5万人程度です。人口が地方ごとに分散しており、一極集中はなかったのですがこの時代の特徴なのです。
現在は人口が大都市に集中しています。それも東京への一極集中が顕著です。首都圏に3500万人、東京には1300万人が住んでいますが、私はこの傾向は今後も続くかと考えています。
未婚の単身者が多いことから、人口が減少する中でも、世帯数は増加基調にあります。しかし、それもいずれ止まります。
大家にとって、これは切実な問題です。「今」はいいかもしれません。しかし、賃貸経営は「今だけ」を見ても仕方ないのです。
「投資はマラソン」と考えて長い期間を見据えて取り組まなければ、最後まで走りぬくことは出来ません。
新幹線はもとより、国内LCC(格安航空路線)も次々と就航し、日本国内での移動は年々、早く便利になっています。
地方に人たちは、都会へのアクセスがよくなると、「都会から人が来やすくなる」と経済効果を期待しますが、じつは逆効果になることが大半です。
例えば、これまでは都会の人が出張で地方を訪れたら、ビジネスホテルに宿泊する必要がありました。1泊すれば食事もしますし、接待も受けるでしょう。その結果、街にはお金が落ちます。
しかし、新幹線や飛行機で日帰りが可能になれば、泊まる必要はありません。場合によっては、支社も不要となり、オフィスが撤退するケースも考えられます。そうなれば、地方では仕事が減り、人々は都会を目指すようになるでしょう。
このように、移動時間の短縮は、地方経済を潤すどころか、人とお金を大都市に持っていかれる可能性を増やしてしまうのです。
大阪、名古屋といえば、日本では大都市に数えられます。
しかし、私はこの地域の地主さんたちから、「土地を売って、東京にアパートを持ちたいのですが・・・・」と相談を受けることがよくあります。
彼らさえ、身を迫る危機を感じ取っています。地方の大家さんたちは、さらに厳しい未来に備えて、準備をする必要があるといえるでしょう。