日本で長期に渡ってデフレが続いている原因のひとつに、人口の減少があるといわれています。特に注目したいのが、若い世代が減り高齢者がどんどん増加することで「生産年齢人口」が大きく減っている点です。
生産年齢人口とは、経済学的に定義された「現役世代」の数のことで、15歳から64歳の人々をさします。
実際には10代後半で働いている割合は少なくないでしょうし、60歳を過ぎれば定年する人もいるため、一括りにするには幅が広すぎる気もしますが、経済を読み解く上でのひとつの目安になるようです。
日本の生産年齢人口は戦後一貫して増加を続け、高度経済成長に大いに貢献したといわれています。ピーク時の1995年の国勢調査では、8717万人を記録しました。しかし、その後は減少局面に入り、2000年の国勢調査では8638万人になっています。
最新のデータに、今年の1月に発表された「日本の将来推計」があります。2010年国勢調査による基準人口より、推計されているのですが、この資料によると2010年時点での日本の総人口より、推計されているのですが、この資料によると2010年時点での日本の総人口は12806万人。生産年齢人口は8173万人です。
今後、さらに減少のスピードが速まり、中位推計(最も実現性が高いとみられる推計)の結果に基づくと、日本の総人口は2048年に1億円人を割ることが見込まれています。そのときの生産年齢人口は5138万人。ピーク時と比べ3500万人以上もの減少が見られます。
このように生産年齢人口が減少していく一方で、老年(65歳以上)人口は、毎年増加していきます。もともと日本人は平均寿命が長く、老年人口の割合が多かったのですが、それに加え、いわゆる団塊世代が順次65歳以上になり「老年」にカウントされるからです。
2011年まで3000万人以下で推移していた老齢人口は、今年2012年から3000万人を超えて3083万人へ。その後は増加の一途をたどり、団塊ジュニア世代が老年となる2042年には3878万人となり、そこでピークを迎えると予測されます。そして、次は老齢人口すら減少していくのです。
厚生労働省は、50年後の2060年には人工が8674万人に減り、全体の5人に2人が高齢者になると推計しています。テレビや新聞などで盛んに報道していたので、ご存知の方も多いかと思いますが、50年間で総人口が4132万人減る計算です。
2040年代には毎年100万人以上のペースで人口が減少していくそうで、これは秋田県や和歌山県規模の都道府県が毎年1つ消滅する計算になります人口数でみると日本から関東地方の1都6県(人口約4200万人)が消失するに等しい、深刻な人口減少社会が到来します。
乱暴な言い方をすれば、今後の日本は「現役世代が減り、高齢者が増加し、人がどんどん死んでいく」世の中になります。
高齢者は家も建てなければ車も買いません。このように人口と経済の側面だけを見ても、今後、日本の明るい未来を創造することは簡単ではないと言えます。