「幸福」が寿命を縮めることもある…幸福の「質」にこだわろう

幸福を感じる瞬間は人それぞれと言われていますが、一般的に幸福感には、二つの種類があるとされています。まず、ひとつが「自分の好きなことを追求し、欲求を満たした時に感じる幸福」。そしてもうひとつが、「自らの人生を充実させ、向上心や目標をもって生きている自分に対して感じる幸福」です。 シェアハウスでも、このような幸福を感じている人はたくさんいるでしょう。
ですが、この二つの「幸福」は、似て非なるものとされています。 そしてこの幸福の質の違いが、私たちの生活や寿命を左右しているというデータも存在するのです。



自分のための幸福と、人のために奉仕することから得る幸福の違いとは

自分のやりたいこと・好きなことを追及している時に得る幸福。これを、「快楽追求型」の幸福とします。たとえば、自分の好物を食べている時、趣味に打ちこんでいる時に感じる幸福感はこれを指します。
それとは別に、「自分の人生を充実させようと、向上心を持っている時に感じる幸福。これは「生きがい追求型」と呼ばれます。将来の夢のために努力しているその状況、もしくは他者に貢献している時に感じる幸福などはこれを指します。

アメリカのカリフォルニア大学とノースカロライナ大学の共同研究により、この幸福感の違いについての調査が行われました。 健康な大人を対象として、幸福の質とうつ傾向の関連性についてのテストが実施された結果、「快楽追求型」の幸福を得ている人のほうが、うつ傾向が高いという結論が出たのだそうです。ただし、「生きがい追求型」の幸福を得ている人は、同時に「快楽追求型」の幸福でも満たされている傾向があったとされています。
とはいえ、幸福の質の違いこそあれ、どちらのタイプの方も幸福であるということに間違いはありません。

しかしながら、同時に行われたストレスに関する遺伝子の研究結果では、肉体にはまったく別の反応が出たというデータも導き出されています。この研究者たちは「CTRA遺伝子群」という遺伝子に着目して、研究を進めてきたとされています。この遺伝子群は、ストレスを感じると増加すると言われ、免疫力に密接に関係しているとされています。テストの一環として、対象者から血液を採取し、その遺伝子群の発現量が調査されました。
すると、「快楽追求型」の幸福感を得ている人は免疫力が低下する傾向が強く、「生きがい追求型」の幸福感を得ている人は免疫力が高く、病気になりにくいということがわかったとされています。そして、「快楽追求型」の幸福感は、免疫力を低下させるだけでなく、炎症を促進させるということも判明しています。炎症とは、簡単に言ってしまえば、ガンなどの病気の原因となるものです。
つまり、「快楽追求型」の幸福は、実はストレスと同じだけの影響を体に及ぼしているのです。 本人は「自分は幸福」と思っていても、その幸福感を体はストレスと同等に考えてしまい、肉体を不健康な状態に落とし込んでいるということです。

シェアハウスにおいても、「シェアメイトのために尽くす」「望んでいたことをしてあげる」と考える幸福と、「シェアメイトから親切にしてもらった」「面倒を見てもらった、希望していたようにしてもらった」という幸福は、一見似たようなもののように感じられるかもしれません。
この感情は、どちらも「幸福」であることに間違いはないのです。 ただし、「してもらう」ことばかりを考えているのではなく、「してあげる」ことを追求すること。幸福こそシェアしようとすることこそ、その気持ちを持続させることに繋がるのかもしれません。
そして、他人のために尽くそうという気持ちこそ、シェアハウス生活をより潤滑に進めるための要素になり得るのです。

この記事を書いた人

東京一人暮らしアドバイザー。 学生時代は下北沢や吉祥寺で過ごし、現在は高円寺在住。 趣味は一人暮らしでもカンタンに作れる、料理・お菓子・パン作り、カフェ巡り、便利でカワイイ雑貨集め。 経験に基づいた一人暮らしの物件探し、防犯情報、お得な節約法・料理術などを提案していきます。最近、シェアハウスへの取材も多く実施しています。 Tokyo Solo Living Advisor. Lately, I have been conducting many interviews about share houses and Japanese language schools.

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