フロイトやユングと同様、現代の心理学の礎を作ったことで知られているアルフレッド・アドラー。
人生をどのように生きれば幸福を享受できるのか?そのような人間の普遍的な悩みに対して、わかりやすい指針を示したことでも有名です。
アルフレッド・アドラーから学ぶ「現代日本を生き抜くための幸福論」とは、果たしてどんなものなのでしょうか?
人は過去を修正したいと願う生き物です。
かつておかした失敗を悔い、長期にわたって自分の生まれ持った素質や能力、環境などを認められず、許せず、トラウマを抱えていらっしゃる方もいます。
しかし、アドラーはこのような過去のトラウマを修正しようとするための方法ではなく、「今後、どうしたらいいのか」を考えることを提唱しているのです。
過去の過ちは時に、自分を“悲劇のヒロイン”のように感じさせる作用があります。
自分を惨めな存在だと考えることで、もしかしたら無意識に「何もしない」「働かない」「行動しない」ことの理由にしているのかもしれません。
まずはこれからのことを考え、自分を変えていくための具体的な方法を模索しましょう。
学校のテストや入学試験、就職、出世競争…今の日本社会は、競争とは切っても切れない関係にあります。もちろん、競争社会はデメリットばかりのものではありません。
ですが、人間の性質には本来優劣はありません。そこを混同してしまうと「私は人より優れている」と考えるようになったり、反対に「僕は人より劣っている人間である」といった考えたりしてしまうのです。
たとえばシェアハウスは一見、競争などとは無縁の世界です。
しかしながら、住人同士で誉め合ったり、注意をしあったりする場面はあります。
このように人をむやみに誉めたり、反対にけなしたりする言動は、実は人間関係を複雑にする“タネ”であり、競争を生みかねない言動だとも言われています。
「あの人のことを誉めているけれど、私のことは嫌いなのだろうか」
「私のことばかり怒鳴ってくる。私はこのシェアハウスにはいらない人間なのかもしれない」
などといったネガティブな感情を招きかねません。
不用意な発言は避け、まずは感謝の気持ちを口にすることが大事です。
「ありがとう」は、誰の競争心も煽ることもない優しい言葉です。
シェアメイトにも、積極的に感謝の意を示していきましょう。
アドラーはこんなことも言っています。「すべての悩みは対人関係の悩みである」と。
シェアハウスのなかでも、つい「私はこのことなら一番詳しい」「私がここでは一番の古株だ」などという気持ちをむきだしにしてしまう住人の方がいるようです。
こういった気持ちは、実は劣等感に他なりません。
そもそも「劣等感」という単語は、なんとアドラーが作った言葉だと言われています。
人に優越感を持つのも、実は劣等感から来ています。劣等感は、対人関係のトラブルや悩みから出てくるものだと考えて間違いありません。
このような感情から解放されるには、自分を強く持つことも大事です。
嫌われても気にしない。人から何を言われても、素知らぬ顔で受け流す。自分の意見をはっきりと言う。これは、自分らしく生きるためには欠かせません。
ただし、このような時に感情的になってしまうと、説得力もなくなります。
シェアハウスでもめ事が発生した時にも、感情をぶつければ気持ちが晴れるかもしれませんが、まずは冷静に相手の話を聞き、かつ自分の気持ちを説明することが必要になってくるでしょう。
人は、平等に生まれてはこられません。環境や能力だけでなく、病気や怪我、事故や災害などで人生が大きく変わってしまうことも有り得ます。
ですが、何があっても、どんな人でも幸福になることが可能です。
アドラーは、「人間が幸福になるためにはどんな才能があるかが重要ではない」としています。「持っている能力や資質を、どのように使っていくのかが幸福になれるかどうかの分かれ道」としているのです。そして、その力を人のために惜しみなく使うことが、幸せになるために必要なことだとも言っているのです。
たとえば、シェアハウスの隣人に対して貢献をすることで、自らの存在意義を発見することもできるのです。自分のためでなく、人のために。そういうシェアハウス作りを目指すことでまた、私たちは幸福を分け合えることができるでしょう。
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