
かつてのシェアハウスは、一軒家やマンションの一室を複数人でシェアし、リビングやキッチン、バス・トイレなど水回りを共同利用するのが一般的でした。しかし近年、新たな形態のシェアハウスとして各個室にキッチン・シャワー・洗面台・トイレなどを完備した物件が増えています。こうした住まいは「コリビング賃貸」や「ソーシャルアパートメント」「ソーシャルマンション」と呼ばれ、従来の賃貸マンションとシェアハウスの良いとこ取りをした新しい一人暮らしのスタイルです。
「コリビング(Co-living)」とは、単なるシェアハウスではなく居住スペースとワークスペースが融合した職住一体型の住まいを指します。共用部に居心地の良いワークスペースや充実したシェアキッチン・ラウンジがあり、個室にはベッドや冷蔵庫などの家具家電付きでシャワー・トイレ・洗面台といった水回りも備わっているのが特徴です。つまり、従来のシェアハウスでは難しかった「仕事」と「生活」の両立やプライバシー確保を実現しつつ、人との程よい交流も得られる住環境といえます。

コリビング賃貸やソーシャルアパートメントが増えてきた背景には、社会環境やライフスタイルの変化があります。特にコロナ禍を経て在宅勤務やリモートワークが急速に広がり、働き方が多様化すると同時に、物価高・家賃高騰で都市部の一人暮らし負担も増えています。20~30代を中心に、従来のワンルームマンションや古いシェアハウスでは得られない新しい価値を求める声が高まり、「職住近接」かつ生活コストを抑えられる住まい方へのニーズが生まれました。
実際、欧米を中心にコリビング市場は拡大傾向にあり、2022年から2028年まで世界のコリビング市場規模は年平均30%前後で成長すると予測されています
。日本国内でも都内を中心にシェア型賃貸住宅の供給が徐々に増えてきており、大手不動産会社も新築大型のコリビング事業に参入し始めました。例えば野村不動産は2025年に総戸数135戸の「TOMORE品川中延」を開業し、100戸超の大型・新築シェア物件は東京のシェアハウス全体のわずか0.5%程度しかない希少な存在です。このように、不足していた良質な大型シェア物件への期待感が、コリビング賃貸の登場を後押ししています。
以上を踏まえ、コリビング賃貸・ソーシャルアパートメントは次のような方に特に向いています。
それでは最後に、具体的なおすすめコリビング物件を7件ご紹介します。それぞれ特色ある物件ばかりですので、ぜひ比較検討の参考にしてください。
野村不動産が手掛ける大型コリビングレジデンスの第1号物件です。都営浅草線「中延」駅徒歩1分という好立地にあり、11階建て・全135戸のスケールメリットを活かした共用施設が魅力。1階に約85㎡の24時間利用可能なコワーキングスペース、7階には100㎡近いルーフバルコニー付きコリビングラウンジが設けられ、イベントやワークショップも開催可能な開放的空間が広がります。専属の**コミュニティオーガナイザー(運営スタッフ)**が常駐し、入居者同士の交流をサポートする体制も整っています。
肝心の居室は12~15㎡ほどのコンパクトな造りですが、ワンルーム同等の収納を備え、快適に暮らせる工夫が満載。シャワーブース・トイレ・独立洗面台を各室に完備しているため、水回りのプライバシーは万全です。一部の住戸には浴槽付きや家具付きプランも用意されており、初めてシェア型賃貸に挑戦する人でも抵抗感なく暮らし始められます。その代わり各個室にキッチンは設置されておらず、自炊は共有の大型キッチン(IHコンロ5台設置)で行うスタイルです。共用キッチンでは入居者同士で料理を楽しむ姿も想定され、交流のきっかけにもなりそうです。大手デベロッパーならではの洗練された空間設計と最新設備が揃った、本格志向のコリビングレジデンスといえます。
>>個室の水回り設備<<
| キッチン | 洗面 | トイレ | シャワー | バスタブ |
| なし | あり | あり | あり | 一部あり |
下町・浅草エリアに2023年オープンした「THE DAY」ブランドのコリビング物件です。東京メトロ銀座線「浅草」駅から徒歩4分、雷門や隅田川も徒歩圏内という絶好のロケーションに立地。物件内にはフィットネスジムやワークスペース、ミーティングラウンジまで完備されており、入居者は仕事もプライベートも充実させることができます。共有リビングは広々として開放感があり、屋上テラスからは浅草の街並みを一望。下町情緒を感じつつ最新設備に囲まれた暮らしが実現します。
もう一つの特徴は、ホテルライクなサービスが提供されている点です。例えばお米の無料提供、ランドリー用洗剤の無料支給、週1回のリネン交換サービスなど、入居者特典が充実。忙しい社会人には嬉しい細やかな配慮と言えるでしょう。居室は全38室(※2名入居可の大型ルームあり)で、すべて家具・家電付きかつ水回り完備となっています。各部屋にシャワールーム・温水洗浄トイレ・洗面台を備え、収納も十分に確保。本格的な調理は共有のアイランドキッチンを使うスタイルです。下町の人情味と現代的な暮らしやすさが融合した、大人にこそ薦めたい浅草ライフが送れる物件です。
>>個室の水回り設備<<
| キッチン | 洗面 | トイレ | シャワー | バスタブ |
| なし | あり | あり | あり | あり |
山手線・大塚駅から徒歩1分という都心の利便性抜群の立地にあるコリビング物件です。地上7階建て全38室で、2024年にオープンしました。同ブランドの浅草物件同様、ワークスペースの充実が光ります。2階には個室ブース型のワークルームが5室あり、大型モニター付きのデスクでテレワークに集中可能。7階の共有リビングは吹き抜け天井と開放的なテラスを備え、まるでカフェラウンジのような洗練空間です。8階には大型スクリーン&高音質スピーカーを備えたシアタールームもあり、オンもオフも充実させられます。
居室は9タイプの間取りバリエーションが用意され、平均10~13㎡ほどのコンパクトさながら収納たっぷりのクローゼットやスマートミラーなど最新設備を搭載。もちろん全室にシャワー・トイレ・洗面台完備のユニットバスが設置されており、プライバシーも確保されています。家具付きで2名入居可能なお部屋も一部あり、カップルでの生活も視野に入れられます。さらにTHE DAYシリーズならではの白米・洗剤無料サービスやリネン交換といった手厚いサービスも利用できます。都心で忙しく働く人が時間と空間を有効活用できる次世代型シェアハウスと言えるでしょう。
>>個室の水回り設備<<
| キッチン | 洗面 | トイレ | シャワー | バスタブ |
| なし | あり | あり | あり | なし |
「HAUN」は暮らし心地を追求した新築コリビングブランドで、蔵前はその第二弾となる大型物件です(2025年9月開業、全110戸)。都営浅草線・大江戸線「蔵前」駅徒歩6分、隅田川や浅草にも近い穏やかな下町エリアに位置します。特徴はワンフロアぶち抜きで配置された約300㎡超の巨大な共用部で、選べる5つの空間から成る点です。朝日が差し込む広々キッチン、ゆったり寛げるソファラウンジ、読書やテレワークに集中できるライブラリー空間、緑に囲まれたセンターテラス(中庭)、そして大人数で食事できるダイニング…と、気分や用途に合わせて居場所を選べます。1階には誰でも利用できるおしゃれなコーヒースタンドまで併設され、街に開かれたコミュニティの拠点ともなっています。
専有部は14~15㎡ほどの1Rタイプで、全室が新築ならではの明るく洗練された内装です。独立洗面台・シャワールーム・温水洗浄トイレ完備で水回りは完璧。ミニキッチンはあえて各部屋に置かず、1階キッチンでの共用調理を推奨するスタイルです。そのため自室はシンプルにベッドと机のみで広さを有効活用でき、収納もベッド下や壁面を工夫して確保されています。エアコンや小型冷蔵庫、Wi-Fiなど生活に必要なものは最初から揃っており、入居した日から快適に暮らし始められるでしょう。住人同士も「近すぎず遠すぎないちょうど良い関係」を築きやすいよう空間設計されており、恥ずかしがり屋でも居心地が良いと評判の、新時代の大型シェアレジデンスです。
>>個室の水回り設備<<
| キッチン | 洗面 | トイレ | シャワー | バスタブ |
| なし | あり | あり | あり | なし |
HAUNブランド第一号(田端)は、2024年3月開業の全61室からなるコリビング賃貸です。JR山手線・京浜東北線「田端」駅徒歩6分と都心へのアクセスも良好ながら、周辺は閑静な住宅街で落ち着いた暮らしができます。2024年度グッドデザイン賞も受賞しており、シェアハウスと単身向け集合住宅の新しいカタチとして高く評価されました。コンセプトは「近すぎず、遠すぎない。ちょうどよい間合いのシェア暮らし」。建物の中央に配置された大きなセンターテーブルや小上がりの畳スペース、カウンター席など、適度に視線が交わる絶妙なレイアウトの共用ラウンジが特徴です。随所に太陽光や風、観葉植物を取り入れ、自然素材の質感を活かした内装デザインは、モダンでありながら温もりも感じられる雰囲気です。
各個室は約10〜13㎡程度のサイズですが、独立洗面台・温水洗浄トイレ・シャワールームを完備しており、一般的なワンルームと遜色ない機能性です。家具家電付きでベッドやデスク、収納も備わっているため、カバン一つで引っ越してきてもすぐ生活できます。キッチンは専有部になく、1階に大型の共用キッチンを配置。プロ仕様の調理家電が揃い、入居者同士で料理を楽しむ場になっています。物件の随所に散りばめられた工夫により、住人同士が無理なく自然に顔を合わせ、適度なコミュニティが育まれるよう設計されています。「一人の時間も大事、でも人と繋がりも欲しい」という欲張りな願いを叶えてくれる、新しい集合住宅の形です。
>>個室の水回り設備<<
| キッチン | 洗面 | トイレ | シャワー | バスタブ |
| なし | あり | あり | あり | なし |
| 物件名 | : | HAUN TABATA |
| 入居条件 | : | 男女OK 外国人OK |
| 賃料 | : | 91,000 ~ 101,000円 |
| 共益費 | : | 25,000円 |
| 部屋数 | : | 61部屋 |
| アクセス | : | JR山手線/京浜東北線「田端」駅 北口徒歩6分 |
「国際交流」をテーマにした超大型シェアレジデンスです。京王線「上北沢」駅から徒歩5分、杉並区の住宅街に2020年開業しました。運営はイギリス発の学生レジデンスブランド「ユニネスト(Uninest)」で、元々は海外からの留学生寮として企画された経緯があります。地上12階建て・最大326名収容という桁違いの規模を誇り、現在は社会人も含め40~50名程度が入居(コロナ禍で一時的に少人数)しています。最大の魅力はその充実した共有設備で、館内に大小合わせて7か所のキッチン、広々としたリビング&ラウンジ、映画鑑賞用のシアタールーム、勉強や会議に使えるスタディールーム、ビリヤード台や卓球台まで置かれたプレイルーム等々、まるで大学のキャンパスのような多彩さです。週末には入居者発案のイベントが自然発生的に開催されるなど、コミュニティも非常に活発で「全員が顔見知りで仲が良い」とまで言われています。
個室は1人部屋・2人部屋・6人相部屋の3タイプがありますが、一般的なのは1人用の個室です。広さは約8~12㎡ほどとコンパクトながら、ミニ冷蔵庫、エアコン、ベッド、机と椅子、クローゼットが標準装備。さらに各室にシャワーとウォシュレット付きトイレを完備しており、水回りが全て自室で完結します。シェアハウスでは異例ともいえる設備充実ぶりで、「トイレもシャワーも個室で済むのは本当にありがたい」と入居者からも好評です。調理は共用キッチンを利用する形ですが、各階にキッチンがあるため混雑も気になりません。世界各国から集まった学生・社会人が混在するグローバルな雰囲気も相まって、日常にいながら留学寮のような体験ができるユニークな物件です。英語を使った交流イベントなどもあり、国際的なネットワークを広げたい人にも最適でしょう。
>>個室の水回り設備<<
| キッチン | 洗面 | トイレ | シャワー | バスタブ |
| なし | あり | あり | あり | なし |
リノベーション賃貸のパイオニア・リビタ(ReBITA)社が手掛ける「多機能交流型」賃貸住宅です。東急池上線「蓮沼」駅徒歩4分、JR蒲田駅からも徒歩7分という利便性の高い立地にあり、2023年2月にフルリノベーションが完了しました。元々はワンルームマンションだった建物を改装し、各戸約19.4㎡のゆとりある個室と、ワンランク上の充実共用スペースを組み合わせているのが特徴です。共用部にはカフェのようなオープンラウンジや大型シェアキッチンがあり、入居者同士が交流したり一緒に料理を楽しめる環境が整っています。また2階には入居者専用のパーソナルジム&サウナ施設が併設されており、契約すれば建物内でトレーニングやサウナを利用可能です。忙しくても家に帰ればすぐ体を鍛え、リフレッシュできるため、心身ともに“深める”暮らしを提案したいというコンセプトになっています。
各個室は一般的なワンルームと同等の完全プライベート空間です。ユニットバス(浴槽付き)、トイレ、独立洗面台、洗濯機置き場まで全て各室に揃っており、プライバシーを確保しつつ快適に暮らせます。調理は2階の共用キッチンを利用する想定です。共用キッチンには業務用ガスコンロや広い調理台、各人専用の食材ボックスも用意され、一人暮らしでは実現しにくい贅沢な料理環境が整っています。各室にはベッド・収納・エアコン・冷蔵庫なども備え付けられ、ホテル感覚で新生活を始めることができます。家賃は約9万円~(管理費1万円)と周辺の単身向けマンション相場と同程度ながら、これだけの付加価値が享受できる点でコスト以上の豊かさを感じられるでしょう。健康志向でコミュニティも楽しみたい社会人にぴったりの、次世代型リノベーション賃貸です。
>>個室の水回り設備<<
| キッチン | 洗面 | トイレ | シャワー | バスタブ |
| なし | あり | あり | あり | あり |
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