テレビ番組で見るような、こだわりのある素敵なシェアハウス。その一方で、「脱法ハウス」と呼ばれる、狭い空間に部屋を詰め込んだ物件が問題になったこともあります。表向きは「レンタルスペース」「24時間利用できるレンタルオフィス」とうたいながら、実際には住まいとして使われている物件です。
また、建物だけでなく、入居してからの人付き合いにも注意したいことがあります。交流を楽しみにしていたのに、リビングで顔を合わせるたびにビジネスや団体への参加を勧められる。それでは、せっかくのシェアハウス生活が気疲れするものになってしまいますよね。
何も知らず入居して、「こんなはずではなかった……」と後悔しないために、契約前に知っておきたい4つの注意点をご紹介します。
避けたいのは、危険な行為や断れない勧誘が、日常の中で放置されている家。
家賃や写真だけでなく、住まいのつくり、共用部で行われていること、勧誘に関するルール、運営会社の対応にも目を向けてみましょう。入居してから我慢するより、選ぶ段階で知っておきたいことです。
- 脱法ハウス 無理な部屋の詰め込みや、募集内容との食い違いに注意。
- 脱法ハーブ・ドラッグ 家の中で薬物を使う・勧めることが放置されていないか。
- ネットワークビジネス 住人同士の交流が、商品購入や事業への勧誘になっていないか。
- 宗教などの勧誘 断っても誘いが続き、参加や寄附を求められる環境ではないか。
チェックポイント①脱法ハウス|安さだけで選ばない
「この場所で、この家賃?」。手頃な部屋を見つけると、うれしくなりますよね。ただ、見に行ってみたら、2畳ほどの空間に細かく仕切られ、窓もなく、天井も低い。荷物を置いたら寝る場所しか残らない、という部屋ではどうでしょうか。
「脱法ハウス」と呼ばれて問題になったのは、こうした詰め込み型の物件です。国土交通省では、複数の人を居住させる貸しルームのうち、防火・避難関係などの建築基準法に違反するものを「違法貸しルーム」としています。
気にしたいのは、単に「少し狭い」ということではありません。住むための部屋を無理に増やしていないか、募集の説明と実際の使われ方が合っているかです。
| 気になる特徴 | 内覧で見ておきたいこと |
|---|---|
| 個室に窓がない | 明るさや換気の方法を確認。部屋の写真だけでは分からない、空気のこもり方も見る。 |
| かなり狭く、天井も低い | 掲載されている広さと実際の部屋を照合。荷物を置くと身動きが取れないような部屋ではないか。 |
| 部屋が細かく仕切られている | 部屋を増やすために通路まで窮屈になっていないか。廊下や出入口が荷物でふさがれていないか。 |
| 募集はレンタルオフィス | 住まいを探しているのに、契約ではオフィス利用として案内されるなどの食い違いがないか。 |
狭さや窓の有無だけで、違法かどうかが決まるわけではありません。ただ、説明と現地が食い違ったり、住む場所として無理があると感じたりしたら、安さだけで決めないこと。納得できなければ、別の候補を見てから判断しましょう。
チェックポイント②脱法ハーブ・合法ハーブ、ドラッグ
シェアメイトがリビングで脱法ハーブを吸っていた。さらには「共用ハーブ(シェアハーブ)」が置かれ、誰でも使えるようになっていた、という話もあります。
「脱法ハーブ」「合法ハーブ」と呼ばれてきたものは、現在では危険ドラッグとして注意が呼びかけられています。健康被害や依存のおそれがあり、「合法と言っているから安全」「一度だけなら大丈夫」とは考えないでください。
一緒にご飯を食べたり、仕事の話をしたりする相手から誘われると、知らない人からの誘いより警戒しにくいかもしれません。でも、一緒に暮らすことと、相手がしていることに付き合うことは別です。
家の中で薬物を使ったり、人に勧めたりすることが当たり前になっているなら、入居は見送りましょう。運営会社がその状況を知りながら放置している場合も同じです。単なる趣味や生活習慣の違いとして、我慢する話ではありません。
チェックポイント③ネットワークビジネス|仲良くなったと思ったら、勧誘だった?
大学、職場、サークルなど、人が集まる場所で起こるトラブルの一つに、ネットワークビジネスへの勧誘があります。シェアハウスでも、毎日顔を合わせて親しくなるぶん、相手からの誘いを断りにくく感じることがあります。
「今度、ご飯に行こうよ」「面白い人がいるから紹介するね」。友達ができたと思って出かけたら、商品の購入やビジネスへの参加を勧められた。それでは、がっかりしてしまいますよね。
住人の間でネットワークビジネスの話が広がり、リビングで「○○さんなら興味を持つのではないか」と、次に誰を誘うか話し合っていた、という話もあります。自分は断ったとしても、リビングへ行くたびにその話題では、足が遠のいてしまいます。
ネットワークビジネスという名前だけで、すべてが違法になるわけではありません。ただ、交流や食事を装って勧誘する、うその説明で購入を勧める、断っても誘い続けるといったことを、「仲良くするためだから」と受け入れる必要はありません。
友達をつくりに来たのに、勧誘の相手にされる家は選ばない。
見るべきなのは、仕事の話をしている人がいるかどうかではなく、住人への商品販売や勧誘が繰り返され、断った人まで巻き込まれていないかです。住人同士で仲良くするために、商品を買ったり参加費を払ったりする必要はありません。
入居前には営業・勧誘を禁止するルールがあるかを確認し、入居後に断っても誘いが続くときは運営会社へ相談しましょう。共用リビングが特定のビジネスの勧誘場所になっているなら、候補から外す理由になります。
チェックポイント④宗教|断っても続く勧誘には注意
宗教を信仰すること自体は、問題ではありません。ただ、同じ宗教団体のメンバーが複数人で暮らし、ほかのシェアメイトを勧誘していた、という話もあります。
気を付けたいのは、誰が何を信じているかではなく、参加するつもりがないと伝えても、集まりへの誘いや寄附の要求が続くことです。同じ家に住んでいると、そのたびに断らなければならず、顔を合わせること自体が負担になってしまいます。
「参加しないと付き合いにくくなる」「断ると責められる」。そんな環境では、生活の場が勧誘を受ける場になってしまいます。相手の信仰は尊重しても、自分まで同じ活動に参加する必要はありません。
しつこい勧誘を禁止し、住人から相談があれば止めるために対応してくれるか。ネットワークビジネスと同じく、ハウスルールと運営会社の姿勢を見ておきましょう。
住むべきではないシェアハウスを見抜くには?
ここまでの問題を避けるために見るのは、内覧での実際の様子、営業・勧誘に関するルール、運営会社の管理です。まず物件ページとハウスルールを読み、内覧で実際の状態を見て、分からない点を担当者に聞いてみましょう。
①内覧で、部屋のつくりと共用部の使われ方を見る
個室では、無理に部屋を増やしたようなつくりになっていないか、掲載写真と実際の部屋に大きな違いがないかを見ます。窓や換気、部屋の広さ、廊下の通りやすさは、案内してもらう間にも確認できます。
リビングでは、住人が普通に食事や会話をする場所なのか、商品販売や特定の活動への勧誘の場になっていないかに目を向けましょう。気になる集まりや案内があれば、「これはどんな集まりですか?」と内容を聞いてみてください。
何人かで集まっているだけなら、普通の交流かもしれません。反対に、内覧中から商品購入や会員登録を勧められるなら、見過ごしたくないポイントです。人の見た目やにぎやかさではなく、そこで何が行われているかを見ましょう。
薬物の使用や勧誘を実際に見かけた場合は、無理に入居を考えなくて構いません。ただし、見慣れない物やにおいだけで薬物と決めつけることは避けてください。
②営業・勧誘を禁止するルールがあるか確認する
ハウスルールで見たいのは、入居者に対する商品販売、ネットワークビジネスや宗教などへの勧誘を禁止しているかです。「ほかの住人に迷惑をかけない」とだけ書かれているより、勧誘についての決まりがあるほうが、何をしてはいけないか分かりやすくなります。
ルールを見ても分からなければ、「住人同士の営業や勧誘は禁止されていますか?」と聞けば伝わります。宗教について確認したいのも、個人の信仰ではなく、ほかの住人をしつこく誘う行為を認めていないかという点です。
「勧誘は禁止です」と分かったら、困ったときの対応もひと言。
「もし勧誘されて困ったら、管理の方から声をかけてもらえますか?」。このくらいの聞き方で大丈夫です。禁止と書いてあるだけでなく、相談すれば対応してもらえるかを確認しましょう。
③運営会社が、問題を放置しないかを見る
ルールがあっても、守られていない状態を放置していたら意味がありません。問い合わせに答えてくれるか、共用部が管理されているか、入居後の連絡先をきちんと案内してくれるか。日頃の管理と、相談への対応の両方を見てください。
管理人が住んでいる物件は、日常の様子を把握しやすく、身近に相談できるのがメリットです。巡回型でもスタッフが状況を把握して対応する運営はありますから、在住かどうかだけで決める必要はありません。
大切なのは、勧誘などで困ったときに「住人同士のことなので」と丸投げせず、話を聞いて動いてくれるかです。入居審査だけですべてを防げるわけではないからこそ、入居後もルールを守ってもらうための管理が重要になります。
勧誘や管理の問題で住み替えるなら、次はそこを変える
すでに住んでいて、しつこい勧誘に困っているなら、まずは運営会社へ「何に誘われ、断った後もどう続いているか」を伝えましょう。単に「住人と合わない」ではなく、勧誘が続いて生活に支障が出ていることを伝えると、困っている内容が分かってもらいやすくなります。
相談しても放置される、そもそも家の中での勧誘を運営会社が認めている。そんな場合に、付き合いのために我慢し続ける必要はありません。別の家を探すなら、次は勧誘を禁止するルールがあり、相談への対応も確認できる物件を候補にしましょう。
一軒で嫌な経験をしたからといって、シェアハウス全体を諦める必要はありません。今回は「どんな家が好みか」だけでなく、「同じ問題を繰り返さないために何を確かめるか」まで分かっています。その経験を、次の家選びに生かしてください。
シェアハウスの注意点・トラブルについて、よくある質問
- Q.狭いシェアハウスは、すべて脱法ハウスですか?
- A.広さだけでは判断できません。居住用としての建物のつくりや防火・避難への対応も関わります。募集と契約の説明が食い違っていないか、無理な部屋の詰め込みがないかを確認し、納得できなければ安さだけで決めないようにしましょう。
- Q.「合法ハーブ」なら、安全ですか?
- A.名前が「合法」でも、安全とはいえません。こうした名前で売られてきた危険ドラッグには、健康被害や依存のおそれがあります。親しい住人から誘われても、使わないでください。
- Q.ネットワークビジネスの勧誘を避けるには、何を確認すればよいですか?
- A.ハウスルールに営業・勧誘の禁止があるか、困ったときに運営会社が対応してくれるかを確認します。内覧では、共用部が商品販売や会員登録の勧誘場所になっていないかも見ておきましょう。
- Q.宗教を信仰している住人がいたら、気にしたほうがいいですか?
- A.信仰があること自体は問題ではありません。注意したいのは、断っても勧誘が続く、参加や寄附を求められる、といった行為です。しつこい勧誘を認めないルールと、相談への対応を確認しましょう。
- Q.内覧では、どのように質問すればよいですか?
- A.物件ページやハウスルールを先に読み、分からない点を「住人同士の営業や勧誘は禁止されていますか?」などと聞けば大丈夫です。気になる集まりがあれば、その内容を聞くなど、実際の案内に沿って確認しましょう。
この記事を読んだ人向けの物件条件
必要な広さや予算、通勤できる場所から候補を探し、気になる物件の管理情報とハウスルールを読み比べてみてください。部屋の条件と、入居後に問題を放置しない運営の両方を見て選びましょう。
シェアハウスを選ぶのは、共同生活を楽しむためであって、勧誘を我慢したり、住みにくさに慣れたりするためではありません。
安さや交流の楽しさは大切にしながら、建物・ルール・運営の3つも見る。気に入った一軒で余計なトラブルなく暮らすために、入居前に確かめておきましょう。
東京のシェアハウスを、物件情報と管理内容で比較する →
