路線価、それは、銀行の評価と大きな関係があります。よほどのおお金持ちではない限り、アパート・マンションを購入、建築するときは、メガバンクや地銀、信用金庫などの金融機関から融資を受けるのが普通です。
金融機関のアパートローンでは、その不動産を担保にとって、融資が実行されます。その融資の際に、金融機関が土地の評価の参考にするのが、「相続税路線価」です。
なぜ、公示価格や実勢価格ではなく、相続税路線価を使用しているのかというと、公示価格は「全国どこでも」ではなく、限られた木重点しか評価されていないからです。つまり、購入する予定の土地の公示価格がない場合も多いのです。
また、実勢価格は日々値動きするもので、これを金融機関が審査の際に正しく把握するのは簡単ではありません。
対して、相続税路線価は、「すべての土地の価格」がわかる「公的な機関による資料」ですから、金融機関から見ると非常に使いやすいのです。
投資家が注目しなければならないのは、場所によっては実勢価格が二束三文の土地に、高い路線価がついていることがある点です。そのため、「売りに出しても誰もかわないであろう土地」に、多大なる融資が付いてしまうこともあるのです。
言うまでもなく、融資がつくことが、投資の成功に直結するわけではありません。融資が付いたからと言って、本当に収益性が保てる土地なのか、健全な賃貸経営が何十年にもわたって行われる土地なのか、が保証されいるわけではないのです。
これが路線価マジックの正体です。
私は今、自分の地元である世田谷区の不動産業者さんと頻繁に土地情報のやりとりをしていますが、「この土地は路線価より高い、安い」などという話を聞いたことがありません。やはり、土地の価格で重要なのは、「実勢価格」でしょう。また、数字には反映できない「その土地が持つ本当の価値」を推し量るセンスも、投資家には求められると思います。
魅力ある地域性、そこにしかない文化といったものは、数値には換算できない高い価値があります。