2013年9月国土交通省より、『シェアハウス=寄宿舎』という発表がされてから約1年半が経過致しました。その後、脱法ハウス問題が世間を騒がせ、『シェアハウス=脱法』というマイナスイメージがついてしまった時期もありました。それが2015年4月1日に“東京都建築安全条例の見直しの考え方”が法施行され、『シェアハウス=寄宿舎』であることは変更ないのですが、ある条件を満たす物件であれば、寄宿舎の基準がグッと緩和されることが決まりました。そこで、今までの経緯と緩和内容をご説明したいと思います。
1.5帖、窓なしの居室が多数あるシェアハウスの入居者が体調不良となり、そこに救急隊員が駆け付けたことで、劣悪な住環境が公となり、社会問題として発展した。なお、上記の問題となったシェアハウスは、某大手漫画喫茶を運営している会社の物件でした。
社会問題(ぞくに言う脱法ハウス問題)に対処するため、基準を策定することが求められ、国交省が『シェアハウス= 寄宿舎』であると発表した。なお、この発表が9月6日に行われたことから、シェアハウス業界では9.6ショックと呼ばれています。
国土交通省に発表に基づき、区役所・消防署がシェアハウスの調査に乗り出し、既存シェアハウスの8~9割が寄宿舎基準に該当しないことが発覚し、業界反発、基準の見直し運動が活発化した。なお、区によって指導の内容がまったく異なり、多くの運営会社が対応に困惑をしておりました。
既存の法律が、現状の社会にそぐわないこともあり、東京都が「東京都建築安全条例に基づく寄宿舎に係る建築基準等についての見直しの考え方」を発表し、規制緩和の方向にて調整することに。
表題の記載にある“東京都建築安全条例の見直しの考え方”が4月1日に正式施行されました。
見直しの概要は以下の通りです。
<要件>
・延べ面積200㎡以下
・階数3以下
・避難階以外の階の寝室数6以下
・寝室数の合計12以下(自動スプリンクラー設備等設置部分は制限なし)
<緩和内容>
・避難上有効に連絡させた幅員50㎝以上の屋外通路を確保することにより、窓先空地は不要
・廊下は両側居室としてもよい
・廊下の幅員は制限しない
・路地状敷地に建築可能
・特殊建築物として求められる接道長さを要しない
・遮音間仕切壁は不要
・既存建築物の転用等やむを得ない場合は、寝室面積が7㎡未満でもよい
更に、延べ面積100㎡以下、階数2以下、寝室数の合計6以下、といった更に小規模の物件であれば、幅員50cmの屋外通路も不要となっております。
普通の戸建てをシェアハウスにコンヴァージョンしやすくなった内容になっています。おそらく、これから空き家が増えてくることを意識しての緩和策と思われます。(シェアハウスは空き家対策の解決策としてとても有効。)
上記の緩和から、200㎡以下の戸建てのシェアハウスが増えていく可能性が高まったと思います。ただし、区によって更に条件が厳しかったりするケースもあるので、シェアハウス開業をする場合は、事前に確認することをオススメ致します。
※ただし、100%合法性を持たせるなら、用途を寄宿舎にする必要があります。