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オーナー向けコラム

シェアハウス運営におけるニューノーマルとは?Z roomとは?

最近よく耳にするニューノーマルという言葉。もともとは、2008年の世界金融危機時に生まれた言葉であり、リーマンショック以降は大きな構造的な変化を余儀なくされ、「新たな常態・常識」が生ずることを表現していたらしいです。

私はアフターコロナ・ウィズコロナという言葉とともに、最近知りましたが、10年以上も前から存在していたようです。その言葉がそこまで一般普及しなかったのは、リーマンショック後に日常生活における大きな構造的な変化がなかったからかもしれません。
※アメリカの経済関係者の間で流行語になっていたらしいです。

シェアハウスを運営していくにあたり、アフターコロナにどのような新常態が生まれるのか考察していきたいと思います。もちろん外れることもあるかと思いますので、その点ご容赦頂ければと思います。



内覧のリモート化

緊急事態宣言中に、既にZOOM内覧を行っている運営会社もいるようですが、今後広く採用される可能性があるかと思います。残念ながら緊急事態宣言が解除されても新型コロナウィルスが消えるわけでもなく、ワクチンの開発・大量生産までにはかなりの年月がかかると言われています。それまでは、“非対面”“リモート”というトレンドが維持し続けるかと思います。

多くの内覧業務をしていると、「なぜこの人はうちのハウスに内覧に来たのだろう?」と疑問に思うことがしばしあるでしょう。質問しても全然的を得た反応がなかったり、明らかに興味なさそうな雰囲気をだしていたり。 また、連絡なしのドタキャンなども多くの人が一度は経験したことがあるかと思います。 運営側からみると、内覧業務には非効率と思われる部分が多数あります。

一方で、ユーザー側も内覧には時間的な制約から、興味があっても多くの物件を見に行くことが難しい一面もあります。リモートであれば移動時間が削減されることから、より選択肢が広がることでしょう。

ただ、本当にすぐ変わるのかな?と思う方も多いでしょう。実際見てみないとわからない部分もあるし、“現地を見に行かなくても大丈夫”という意識がすぐに根付くかどうかは私自身も疑問に思っています。(OYOなどを使用したことがある方など、現地をみなくても大丈夫と思う人は一定数いると思います。)

なので、



リモート・ZOOM内覧 → 現地内覧


という流れが出来るのでは?と推測しております。
最初にリモート内覧を実施し、強い希望のある方のみ現地内覧を実施する2段階方式を採用することで、運営会社側もドタキャンを防ぐことが出来るだろうし、契約数÷内覧数の打率を大幅に上げ、効率的に運営業務をしていくことが出来るかと思います。




リモート内覧をする場合どのアプリを使うべきか

Zoomの他、Google MeetMicrosoft TeamsSkypeという無料アプリがよく活用されています(有料版もあり、有償の方が画質があがったりします)。Zoomが圧倒的に人気があるようですが、セキュリティに脆弱性があることが多々報告されています。また、Google Meetは動作が非常に重たかったり、途中で画質・音声が途切れてしまうことが発生するなど、各アプリでメリット・デメリットがそれぞれあります。(いずれ改善されると思いますが。)

ユーザー側でアカウント作成がなくても利用可能なのは、ZoomとMicrosoft Teamsのみなので、ユーザー側の負荷を軽減させたいのであれば、このどちらかになるでしょう(ユーザー側にアプリをインストールしてもらって、アカウントを作成してもらってという作業は出来れば省いた方がよろしいでしょう)。各アプリの比較はこちらのサイトを参考にしてみてください。




リモート内覧をする場合なにを用意すべきか

オンライン上における物件情報は、テキスト・写真がメインとして扱われてきましたが、内覧となるとそれだけでは不十分でしょう。写真は活用しつつも、物件のリアル感を伝えるためには、一眼レフカメラで撮影した動画、360°カメラで撮影した動画・静止画などが必要になってきます。動画用カメラでオススメはこちらにサイトを参照頂ければと思います。個人的にはコンパクトで軽いミラーレスカメラが使い勝手がいいと感じています。360°カメラでオススメはこちらのサイトを参照頂ければと思います。Insta360は、当社でも使用しており、画質には定評があります。

360°カメラを使用して、物件ウィークスルーなどを作成したい場合は、以下のようなサービスが有名です。





ただ、内覧アプリとは異なり、無料ではなく有料サービスがメインとなります。カメラも高額で、月額費用も掛かるのはちょっと、、という場合は、当社でも360°コンテンツを作成していきますので、お気軽にご連絡くださいませ。




申込手続きのオンライン化

あらゆるものがオンライン化した今般でも、お申込書を紙にて提示いただいくこと主流となっています。内覧がオンライン化していくのであれば、申込手続きも当然オンライン化していくことでしょう。オンラインが進まない背景には、判子文化が根強く残っていましたが、新型コロナウィルスをきっかけに脱判子が加速しそうです。

お申込と同時にオンライン化が進む可能性があるのは、初期費用の決済でしょう。申し込みが完了した後、そのまま決済できる仕組みが望ましいかと思いますが、クレジットカード決済手数料の問題もあり、あまり進んでいないのが、現状です。なので、決済まではニューノーマルになるまでは、まだ時間が掛かりそうです。




契約手続きのオンライン化・IT重説

2017年10月より賃貸のIT重説が解禁されていましたが、いまだに対面で手続きをしている運営業者の方が圧倒的です。これもさきほどの<申込手続きのオンライン化>と同じ理由でオンライン化が進むでしょう。ただ、申込手続きはオンライン・webサイト上で完結するのに対して、シェアハウスでよく利用される定期借家契約は紙であることが法律で定められています。(今後の法改正に期待です。)なので、クラウドサインのような電子契約サービスでの締結は現時点では難しい状況です。オンライン化といっても、説明をPC・スマホ越しに実施するけど、ユーザーの手元に契約書や重要事項説明書といった書類を事前に送付する必要があります。

一方で、“定期借家契約は対面で実施する必要があるのではないか?”という疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います。確かに、対面である必要があるのですが、もともと電話での説明も対面と見なされており、テレビ電話も電話の括りとして対面として見なされるようです。

なお、オンラインにて説明を実施する際は、以下の要件が必須となっています。



①双方向でやりとりできるIT環境の整備
②重要事項説明書等の事前送付
③重要事 項説明書等の準備とIT環境の確認
④取引士証の提示と確認(仲介業者の場合)
⑤IT環境に不具合があれば中断




テレワーク化への対応

今回の緊急事態宣言の発令に伴い、多くの企業がテレワーク化を推進したのは既にご存知かと思います。まだいろいろ諸説言われており、すべてがテレワーク化することはないかと思いますが、解除後も継続していく企業も多々出てくることでしょう。自宅で仕事をするわけで、ずっと狭いお部屋にいるのは辛く、今後シェアハウスの共用部にワーキングスペースの設置が求められるようになるかもしれません。



上記の写真の通り、大型物件ではもともと用意されているケースもありましたが、今後は大型以外でも同様の設備や共用部で仕事できる環境(電源の確保など)が求められるようになるでしょう。さらには、Z Roomなるものも必要になるかもしれません。在宅ワークでも会議がなくなるわけではないので、現状はZoomなどを自室で実施しているようですが、他の入居者の方の生活音がしばし会議中に発生しているようです。木造の壁ですと、音が漏れることもあり、会議の話が外部の方に聞こえてしまうこともあるでしょう。なので、会議のときに使用可能な防音設備を備えたZoom Room(略してZ room)も今後必要になってくるかもしれません。


Suumoの調査によると、テレワークをきっかけに引越を検討している方が50%以上というデータがあります。また、同調査によるとこれからテレワーク化が実施されれば、今よりも通勤時間が長くなってもいいと思っている方も50%以上というデータになっています。このデータを見て、これから半分の人が引っ越すだろうと思うのは時期早々だと思いますが、今後一定数の方が都心から離れた場所に移動していく可能性が高いでしょう。以前、とあるシェアハウスを内覧している方は、新宿の物件と横浜の物件を比較検討していると言っておりました。コロナ前であれば、勤務地を基準に考える方が多く、比較検討するエリアではなかったものが、テレワークの影響で通勤距離という概念がなくなり、“物件の魅力”と“そのエリアの魅力”という観点で比較検討するにようになってきているようです。

また、テレワークといってもフルではなく、週に1~2回は出勤しないといけない方も多いでしょう。それに伴い、通常は賃料が安く自然の多い郊外に暮らし、週2回だけオフィスの近くの物件に住むといった2拠点ライフなども広がりを見せるかもしれません。ただ、週2回のために高い賃料を払うのは大きなデメリットしかないので、シェアハウスの1部屋を月・火曜はAさん、水・木曜はBさん、金・土曜はCさんという3人で使用させてほしいといった新たなニーズも出てくるかもしれません。もしそうなった場合は、運営会社側でも運用面・契約面で柔軟性が求められるでしょう。


一般企業と同様に、スタッフの感染防止の観点から運営会社自身がテレワーク化への対応も必要になってくるでしょう。そうした場合、契約書のデータをクラウド上での管理に移行したり、ハウスで発生した課題・問題の共有も対面ではなくオンラインにしてくなど、日常業務にも大きな変化が起きそうです。




“非対面化” “オンライン化” “ワーキングスペース” “郊外化”というキーワードをもとにニューノーマルになる可能性のあることを記載させていただきました。変化が定着するまで時間が掛かるものもあれば、そうでないものもあります。また上記以外にも、ハウスクリーニング後には必ず除菌も実施する、友人の宿泊・滞在の禁止するなどハウスルールの変更など細かいレベルでの変化があるでしょう。
変化に対応し、よりよい運営を目指していければ幸です。

この記事を書いた人

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