親が亡くなってしまったり、介護施設に入ることで、自宅を持て余してしまう方も多いのではないでしょうか?今回インタビューした西沢さまもその一人。もともと、お母さまと奥さまと西沢さまの3人で暮らしていたご実家。お母さまが介護施設に入ることが決まり、使わない空間が一気に増えたため、自宅の有効活用を模索したようです。アパートも検討したようですが、収益が1.5倍以上になるシェアハウスにコンバージョンすることにお決めになったとか。
また、会社員をやりながら、シェアハウスの運営を夫婦でやっており、収益の最大化を図っている点もとても参考になりそうです。
柴田 『本日は、インタビューに応じて頂き、お礼申し上げます。今回は、ご自宅をシェアハウスにされたとか?』
西沢さま 『そうなんです。もともと、私と母と妻の3人で暮らしていたのですが、母が介護施設に入ることになりまして、2人になってしまう。自宅は2人には広すぎるので、もっと夫婦2人にあったサイズ感のマンションに引っ越して、自宅を貸すことを考えました。』
柴田 『なるほど。広い自宅に住むより、自宅を貸して収益化しようと。まずはアパートを検討されていたんですね。』
西沢さま 『この自宅、もともとは1Fと2Fに別々の玄関があって、2Fがアパートになっていたんです。それで、まずはそれに戻すことを考えました。』
柴田 『アパートにするにあたって、懸念点があったのですか?』
西沢さま 『アパートとして貸すには構造を変える必要があり、工事費用が結構膨らんでしまって。また、貸出賃料の見積もりを取ると、1F10万円、2F10万円と合計20万円程度にしかならない。そして、何よりも周りにたくさん増えつつある新築アパートとの競合には勝てないのでは?と思ったのが最大の懸念点でした。』
柴田 『そこで、シェアハウスに?』
西沢さま 『はい。様々な不動産投資セミナーに参加して情報を収集しました。あ、かぼちゃの馬車のセミナーにも行きましたよ。新築物件が2億円で販売されてて、高いなーと思った記憶があります。』
柴田 『購入されなくてよかったです。シェアハウスなら、懸念点がないと?』
西沢さま 『そうですね、建物の構造を変更する必要がないですし、“シェア”というキーワードは時代にも沿っているし、そして何よりもリスク分散できるのがいいと思いました。2部屋だと1部屋の空きが出ると、収益が半分になってしまいますが、5部屋のシェアハウスなら1部屋空きになっても8割の収益が確保されています。そして、私の自宅エリア(新宿区と港区の境界線エリア)には、アパートはあってもシェアハウスがないので、競合がいないのもいいなぁと。』
柴田 『収益の大きさだけでなく、リスク面にもメリットがあったんですね。シェアハウスだと、貸出賃料はいくらほどに?』
西沢さま 『1部屋7万円平均の5部屋で、35万円です。アパートの貸出賃料より、15万円も多くなっていることにも驚きましたが、この古い自宅で1部屋7万円も取れるのか?と驚きと心配もありました。なにせ、隣にある平成築の比較的新しいアパートが1部屋、7万円くらいだったので。』
柴田 『結果、査定に間違いは?』
西沢さま 『なかったですね。』
柴田 『築古とのことですが、築何年くらいなんですか?』
西沢さま 『不詳です。(笑』
柴田 『これ、実はアパートにはない、シェアハウスならではのメリットでもあるんですよ。一般賃貸の募集は、SuumoやHomesといったポータルを通して行うことが多いですが、このサイトの検索項目に築年数というものが必ずあります。そして、築30年とか40年の物件は、検索にそもそも引っかからないケースが多いですが、シェアハウスの募集ポータルサイトに築年数の検索項目を設けているところはあまりないです。なので、築年数ではじかれることがないんですよね。』
西沢さま 『そういうメリットもあったんですね。』
柴田 『もう少し、数字について教えてください。自宅をシェアハウス化するにあたって、工事費や諸経費などを教えてもらえませんか?』
西沢さま 『はい大丈夫ですよ。工事費が680万円、家具家電代が80万円、コンサルティング代40万円で、合計800万円くらいでした』
柴田 『月35万円、年420万円の家賃収入で、表面利回りは50%越えですね!』
西沢さま 『非常に高い収益性で、満足しております。ただ、水回りの下の基礎が沈下していたり、汚水が漏れていたりなどが、工事開始後に発覚しました。更に、以前のリフォームした時だと思うのですが、本来柱があるべきところの柱が抜かれていたりして、構造補強が必要なことも後からわかりました。抜かれていた柱が、天井裏に放置されていたのは、ビックリしました。』
柴田 『以前のリフォーム業者が、非常に悪質な工事をしていたんですね。。。』
西沢さま 『それで、追加工事費が150万円くらいかかってしまいましたが、それでも高い収益性が確保されていることには変わりありません。』
柴田 『なるほど、工事にあたり上記以外に問題などありましたか?』
西沢さま 『上記ほど大きな問題ではないですが、家にハチの巣があったり、近隣の方から“水の出が悪くなった”などのクレームを頂いたことはありました。もちろん、こちらの工事は関係ないので、近隣の方にそういった説明をさせて頂きました。』
柴田 『シェアハウスに限らず、工事には近隣からのクレームがつきものですかね。こういう時に、ご近所付き合いって大事だなと思います。工事期間は、どのくらいでしたか?』
西沢さま 『4か月強くらいですかね。後から問題が発覚したこともあり、追加発注などで、通常より工期が伸びてしまいました。』
柴田 『戸建てサイズだと、1.5~2か月程度なので、それに比べるとちょっと長いかもしれません。ただ、イレギュラーが発生しているので、予定通りにならないのは致し方ない部分もあるかと思います。』
西沢さま 『それから、妻と一緒に備品・家具を購入しました。これが地味に大変で、時には妻とケンカしながらのお買い物となりました。(笑。家具一式が揃ってから、無事、募集開始です。』
柴田 『募集は順調に?』
西沢さま 『1月、2月というタイミングがよかったのもあると思いますが、SHARE PARADEさんの募集だけで1か月で満室になりました。こんなに反響があるのか?と少し驚きました。』
柴田 『賃料の査定金額に誤りはなかったようで、よかったです。』
西沢さま 『はい、広いお部屋7.5万円、一番狭いお部屋は6.5万円ですが、平均では7万円になっています。』
柴田 『こんなこと言ってしまうと、入居者さまに怒られてしまうかもしれませんが、入居者さまの入れ替わりのタイミングで、賃料を1,000~2,000円引き上げるのもいいかもしれません。最初は、全空なので、割安感を出して、一日でも早く入れることに注力すべきですが、入れ替わりの時は基本1人なので、賃料の微調整することで収益の最大化に目指してもよろしいかと。』
西沢さま『そうですね。実は、少しそれを考えていました。』
柴田 『まだ、オープンしてから半年間だけですが、運営は順調でしょうか?』
西沢さま 『そうですね、妻が専業主婦なので、ハウスクリーニングなどは妻に頼みながら、会社員の傍ら何とかやっております。』
柴田 『イレギュラーが起きなければ、会社勤めでもできるのですね。ちなみに、入居者さまからのクレームなどイレギュラーはないのですか?』
西沢さま 『小さいものは幾つかありましたが、大きいのはないですね。』
柴田 『小さいものって、具体的には?』
西沢さま 『冬にお部屋の暖房で乾燥が酷く暖房を付けられない為、足が冷えて眠れないなどの日常生活の不便を訴えられる方もいらっしゃいました。』
柴田 『そんな日常的なことまで言われることがあるのですね。その時は、どのように対応を?』
西沢さま 『そのときは、フットヒーターをプレゼントしました。あとは、夏場にエアコンが故障してしまったり。修理が完了するまでの1週間分の賃料は、返金して対応しました。』
柴田 『すごい良心的な対応ですね。』
西沢さま 『他のハウスがどうしているかわかりませんが、やはり快適に住んでいただきたいので、出来る範囲で対応しようというポリシーで運営しています。実際に入居者さまとの雑談の中で色々とお話しを聞く限り、みなさま結構仲良くやっているようです。餃子パーティーとかカレーパーティーとか、入居者さま主催でやっているようです。雑談の中で“今度、大家さんも来てくださいね!”とお誘いまで頂きました。(笑』
柴田 『入居者さま同士だけでなく、運営側と入居者の距離が近いのも、シェアハウスならではですね。運営を半年して、失敗したな!と思った点はありますか?』
西沢さま 『大きなところはないですが、小さい点でいうと、ソファは2つもいらなかったなと思いました。1つで十分かと。あと、シャワールームの扉は折れ戸の方がよかったですね。』
柴田 『ソファ、捨てるにも捨てられないですね。実際に運営してみて、運営の重要ポイントって何だと思いますか?』
西沢さま 『人が住むところなので、ここなら住みたいな!という空間をしっかり作り込み、そして清潔さを維持していくことだと思います。内覧に来る方は、うちの物件以外も複数みていますが、うちを決めてくれる理由って、キレイさだったりします。うちは、週2回、妻がクリーニングしているので、ほこり一つない状態を維持しています。シェアハウスって、アパートに比べ、共用部がとても多いので、そこのメンテナンスに手を抜かないことでしょう。』
柴田 『そうですよね。内覧に行ったら、写真と全然ちがう!っていう物件も多々ありますからね。奇をてらうことよりも、住み手に寄り添っていくことが大事なのかもしれません。今後もシェアハウスを増やしていくのですか?』
西沢さま 『年金はあてにならないと思うので、シェアハウスに限らず不動産収入を増やしていければと思っています。家賃収入だけで、今の会社員の給料くらいまで稼げるようになったらと。会社員の給料がおまけくらいな状況にすることを目標としています。』
柴田 『シェアハウス以外だとアパートですか?』
西沢さま 『アパートでも、アクティブシニア向けのアパートであったり、シェアハウスでもいいと思っています。』
柴田 『なるほど。アクティブシニア向けのシェアハウスが出来た際は、改めてインタビューさせていただければ幸です。本日は、ありがとうございました。』