恵比寿の立地で、常に満室稼働をしているシェアハウスオーナーの浅野さまにインタビューを行いました。
シェアハウスオーナーになるきっかけから、実際の利回り、運営上のトラブルなど、リアルな声をお聞きしております。通常、オーナーさまは専門の管理会社に丸投げするケースが多いですが、浅野さまはご自身で運営・管理までされているパワフルな投資家です。
柴田 『本日は、インタビューに応じて頂きまして、ありがとうございます。早速ではありますが、シェアハウス投資に興味を持ったきっかけを教えてください。』
浅野さま 『本日は、よろしくお願いいたします。主人が20年くらい会社経営をしておりまして、ずっと主人のサポートをしておりました。主人からあるとき、子育てがひと段落する40歳になったら、好きなことをやりなよ!と言われたのがきっかけです。』
柴田 『理解のあるご主人さまですね。』
浅野さま 『はい。それで、定年がない・若い方と接点が持てる・楽しい・資産として残る、という4つの視点で考えた時に、シェアハウスという選択肢が浮かび上がって。』
柴田 『やりたいことに合致していて、資産をお子さんに残すこともできると考えると、いい投資ですね。アパートとかですと、資産にはなっても若い人と接点が持つのは難しいですしね。』
浅野さま 『はい。そこで2012年に恵比寿駅から10分程度のところに約20坪の土地を購入致しました。』
柴田 『なぜ、恵比寿だったんですか?』
浅野さま 『そこは資産性としての高さと単純に自宅から近かったからです(笑』
柴田 『ご自身で運営管理をされるのであれば、近さも重要ですね。ただ、土地20坪だとそこまで大きな建物は難しそうですね。』
浅野さま 『はい。3階建てですが、100㎡以下のサイズです。』
柴田 『約100㎡でお部屋の数はどのくらいですか?』
浅野さま 『6部屋です。私一人で管理するには十分な規模だと思います。また、売却などの出口を考えると、100㎡くらいの規模が売りやすいかと。』
柴田 『そうですね、他の出口は考えているのですか?』
浅野さま 『シェアハウスとしてではなく、一般賃貸としても貸しやすいですし、子供たちの結婚後の住まいとして活用できると考えています。』
柴田 『浅野さんのお子さんに生まれたかったですね(笑。ここからちょっと数字的なところを教えてください。土地の取得価格や建築費や利回りなど。』
浅野さま 『土地の取得価格は控えさせていただきたいのですが、坪300万円は全然いってないくらいですね。』
柴田 『2019年ですと、恵比寿の坪単価400~500万円くらいでよく見かけますので、かなりリーズナブルに購入されたのですね。』
浅野さま 『そうですね。アベノミクスの効果が出始める前だったので、タイミング的によかったのだと思います。』
柴田 『ちなみに建築費は?』
浅野さま 『諸経費は別として、1,500~2,000万円くらいの間です。』
柴田 『100㎡で、上記くらいの金額であれば、一般的な注文住宅と同じ程度ですね。』
浅野さま 『はい。その分、家具にはある程度コストを掛けました。知り合いの家具職人に依頼して、くるみの無垢材の2段ベッドやテレビボードを作っていただきいました。他のシェアハウスでは、IKEAやNITORIで揃えていることが多く、どこも同じような雰囲気になってしまっているので、しっかり差別化すべきかと。』
柴田 『そうですね、特に価格重視のところは、IKEA・NITORIが多い印象です。その分、賃料は高めに設定されているのですか?』
浅野さま 『そこはオーナーさん・投資家のポリシーによる部分があるかと思いますが、投資効率の最大化よりも若い人に優良な住まいをリーズナブルに提供したいという考えのもと、平均賃料が6万円台前半にあるように設定しています。一番安いお部屋は、5.5万円です。』
柴田 『それは、かなりリーズナブルですね。恵比寿近辺だと個室タイプのシェアハウスでも7.5万円~が多いように思えます。アッパー向けの物件だと10万円~も幾つかあります。個人的には、利回りが気になりますが。』
浅野さま 『利回りは表面で6%程度、実質で5%程度でしょうか。恵比寿でアパート建てるよりかは、高くなっているかと思います。』
柴田 『多くのオーナーさんは、お金を出すだけで、運営は専門の管理会社に依頼するケースが多いですが、浅野さまはご自身で運営までされていますね。5年以上も運営していると、いろいろなトラブルも経験されてそうですが?』
浅野さま 『そうですね、トラブルは結構あると思っていたのですが、思いのほかなかったですね。高額な物がなくなるとか、冷蔵庫のモノがなくなるとかは今まで一度もないです。一度だけ、スプーンがなくなったことがありましたが。』
柴田 『人間関係でのトラブルは?』
浅野さま 『入居者さま同士のケンカも一度もないです。ケンカなんて、とんでもない!って感じです。ただ、キッチンコンロの周りがちょっと汚いとか、日常生活に関わる小さな不満はあるようです。その辺は、度合いをみて入居者さまとお話することもあります。』
柴田 『管理会社と入居者の距離が近いのも、シェアハウス運営のポイントですよね。』
浅野さま 『こちらからお願いすると、みなさま真摯に受け止めてくれます。いい意味で、意外でした。入居者さま同士の関係も大事ですが、入居者さまと管理会社の関係も非常に大事かと思います。』
柴田 『そうですね。家賃の滞納とかはありませんか?』
浅野さま 『そんなにありませんが、時々あります。その時は、早めに連絡して、相手の事情を加味して、期限を決めるようにしています。ただ、5年間で、一人だけ回収できない方もおりましたが、、、』
柴田 『5年で一人であれば、とても少ないですね。トラブル対応とは別で、運営するうえで、何か意識していることなどはございますか?』
浅野さま 『単に箱を提供するだけではなく、ソフト面の付加価値も含めて提供できればと思っています。』
柴田 『具体的には?』
浅野さま 『私、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を持っており、入居者さまにはお金のアドバイスを無料でしております。場所柄か分かりませんが、自営業の入居者さまが結構いらっしゃいます。自営業って、個人と事業のお金がごっちゃ混ぜになって、お金の管理がザルになってしますケースが多々あります。』
柴田 『耳が痛い話ですね。。』
浅野さま 『将来への備えやその方のライフプランに合った、アドバイスを心掛けています。今後は、ソフト面での差別化が重要になってくるのではないでしょうか?』
柴田 『かぼちゃの馬車みたいに、同じような物件を同じエリアに多数作ってしますと、価格競争になりますから、何かしらの差別化は今後特に必要になってくるかもしれませんね。』
浅野さま 『かぼちゃの馬車のオーナーさまには、本当に同情いたします。ただ、事前に周辺の土地相場や賃料相場等を調べていれば、無理のあるモデルだということはわかったのではないかな?とも思います。融資が通る = 投資が成功する ではありませんからね。ここでダメということではなく、次どうするか?を考えて乗り切ってほしいです。』
柴田 『確かにそうですね。投資の成功は、緻密な調査・計画・差別化の上にあるのですね。貴重なお話、ありがとうございました。』