家着と外着、その狭間にある新たな概念『シェアハウス着』

家着と外着、その狭間にある新たな概念『シェアハウス着』


このところ『シェアハウス・ファッション』なるものを確立しつつあるわたくし。

「ただの家着じゃないの、それ?」とお思いでしょうか?

それが、違うんですよね〜。

少し前、シェアメイトから「まりなちゃん、外着と家着の中間みたいな格好がどんどんこなれてきてない? そういう格好何て言うの?」と指摘され、「……たしかに!」と膝を打ったのです。

「う〜ん、『ミッド・ルーム・ウエア』とか?(笑)」などとイマイチ感きわまりない返答をしたりしながら、自分のそのカメレオンのような環境への適応っぷりを思い返すと何となくなぜか笑いがこみ上げてきました。

(そんなまどろっこしい名前をつけずとも、すでに『ワンマイル・ウエア』というアパレル用語がこの世に流通しているわけですが。)

というわけで、私のシェアハウス内での被服生活の変遷を辿りながら(と言っても超短いのですぐ終わる)、ここにベスト・オブ・シェアハウス着を記したいと思います。


洋服好きの私は、一人暮らし時代にルームウエアにハマって、ジェラートピケをはじめパステルカラーでガーリーなモコモコ着を買い集めた時期があり、シェアハウスへ引っ越す際にもみんな連れてきていました。

最初はそういったものを着て共有スペースに現れ、「パジャマ着てる〜」と周りから言われるたびに「パジャマじゃなくてこれ家着だから」と訂正をする、そんなやり取りを繰り返す日々。

シェアハウスに住み出してから1年は会社勤めをしていたので、出掛けるときの格好に比べ、家の中での格好のふにゃっと脱力感が際立っていたのです。

そしていよいよ会社を退社し、おもに共有スペースにPCを持ち込んで書き物をする、つまり、一歩も外に出ず家の中で仕事をする——そういった一日を過ごす日も多くなり。

最初は一日中モコモコ着で過ごしていたんだけど、そのことにだんだん違和感を覚えはじめました……というのも、一日中パジャマで過ごしているような気分が……。

モコモコは自分の部屋で着るのには適しているけど、共有スペースで着るにはちょっと『部屋着すぎる』感じがする。

「なんか、だらしない…?」無意識にそう感じていたのか、外にも着ていけるカジュアル着を一日の始まりに選ぶようにいつの間にかなっていました。

共有スペースは、家の中とはいえ、自室に比べてやっぱり『ちょっと外』という絶妙なさじ加減の場所なんですよね。


今の時期のヘビーユースアイテムとしては、

・パーカー
・頭からスポッと被れるような、ストンとしたシルエットのワンピース(マキシ丈だと尚良し)
・Tシャツ
・シフォン素材のスカート
・ユニクロの『ステテコ』『リラコ』という名称の膝下ハーフパンツ
・靴下(タイツやストッキングでなく)

など。

これらの特徴としては、以下のようなことが挙げられます。

①ボディラインがあまり出ない、締め付け感のない、堅苦しくないもの
……[理由]あくまで“家の中”にいるので、楽な格好がしたいから
②スウェット素材など、体を折り曲げても服にしわが寄らない、柔らかい素材のもの
……[理由]足を折り曲げたり寝転がったり料理をしたり、最大限いろんな動きをしても洋服が傷まないから
③ボトムはなるべく膝下まで覆われているものが理想
……[理由]足の露出面積が大きいとスースーして家の中では落ち着かないから(これは私の中で新たな発見だった!)


これらは、シェアハウスを拠点にした働き方をしているからこそ出来上がったファッション。そのまま外に出ても恥ずかしくない格好です。

家着と外着を弁証法的に昇華させた新たな概念、これこそがシェアハウス着なのです。


ちなみに、シェアハウス着で出掛けるときの靴は、ぺたんこ靴やスニーカーが中心。パンプスを履く機会は激減しました。

会社員時代から比較すると「私、こんなカジュアルな人種だったっけ?」と思うくらいの自分的パラダイムシフトです。

ライフスタイルがファッションをつくる。その現場に自分が立ち会うことになるとは……やはりシェアハウスは何かとケミストリーを起こさせる場所なんだなあと思わずにはいられません。

svgこの記事を書いた人
奥 麻里奈

1982年8月3日生まれ、獅子座、O型。大阪府出身。都内のオフィス複合型シェアハウスに住む、フリーランスの三十路ライター。美容専門誌編集者としてまだ出版社に勤めていた2012年1月からシェアハウス生活をスタート、1年後に独立。現在は、ファッション・ビューティからキャリアビジネスまで分野を問わず活動中。シェアハウス内のラウンジがおもな仕事場。趣味は服と読書。

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