EXperiences

入居者体験談

『僕・私にはシェアハウスは無理』と豪語するあなたへ 後編

『僕・私にはシェアハウスは無理』と豪語するあなたへ 後編


“share”は和訳すると“分かち合う”。

食べ物でも、情報でも、体験でも、「みんなで分かち合おうよ」というノリが、私が住んでいるこの建物の中では確実にあります。

キッチンで料理しているところにシェアメイトがいたら、「ちょっと食べる?」と声を掛けるのは日常茶飯事。お菓子作りが趣味の子は、クッキーやケーキやキッシュを焼くたびに「どうぞ〜」と気前良くみんなに振る舞ってくれます(だから、「ここに住んでたら太る…」とみんなよく言ってる)。

例を挙げればキリがなく、フォトグラファーが住人に写真の知識や技術を教えてくれたり、スピリチュアル方面に詳しい子が新月と満月の日に瞑想したりメッセージカードを引いたりする会を開いてくれたり。

私の場合は本を人に貸すことが多いですが、みんな返してくれるときにお菓子をくれたりして、ちょっとした“シェア”が当たり前のように習慣づいている。

シェアハウス内には、何かを一人だけで享受するよりも、みんなで分かち合うことを善とする思想があるのですね。


そういう環境にいきなり飛び込んで、すぐ馴染めるものなのだろうか?

「自分は無理かも……」と言う人が多そうな気がしますが、おそらく多くの人が、やってみると案外イエスなのだと私は思います。

たとえばこういった場面。

ディズニーランドに行ったら、いい年して平気でネズミの耳をつけたりして、夢の国のキャラクターになりきった気分になる。

……そんなような経験、一度はありますよね?

普段だったら「自分ってそんなにノリ良かったっけ?」と思うようなパフォーマンスをしている自分に出くわしたこと、誰しもあるんじゃないでしょうか。


同じように、シェアハウスにも、「シェアワールドに入ったら、シェア行動を取るのが普通」といったような暗黙の了解が横たわっている。

シェアハウスには、ある種、そういったテーマパーク的な性質があるように思います。

ミッキー・ミニーならぬ「シェアびと」になる魔法にみんなかかるのです。


できる限り自分のことは自分でまかなう態度を一人暮らしの人ならもう、身につけていると思います。

だとしたら、「人と分かち合う」モードも持っていた方が、人間としての引き出しが増え、自分の人生に幅が出てくるんじゃないかなと。

無意識ですが、私はどこかでそう確信していて、シェアハウスという環境に身を置いているように思えるのです。


どこか今の生活にマンネリを感じていたとしたら——どうせなら、シェアハウスの魔法に自らかかりに行って、新たにシェア習慣を体に染み込ませてみるのも1つの手なんじゃないかな、と思います。

svgこの記事を書いた人
奥 麻里奈

1982年8月3日生まれ、獅子座、O型。大阪府出身。都内のオフィス複合型シェアハウスに住む、フリーランスの三十路ライター。美容専門誌編集者としてまだ出版社に勤めていた2012年1月からシェアハウス生活をスタート、1年後に独立。現在は、ファッション・ビューティからキャリアビジネスまで分野を問わず活動中。シェアハウス内のラウンジがおもな仕事場。趣味は服と読書。