『脱法ハウス』は、契約時の審査もゆるく、収入がない方・保証人がない方でも入居しやすいことで有名です。しかし、その実態はシェアハウスと呼ばれるものにほど遠く、長く住むのはまったく適していない環境だとされています。
まず、『脱法ハウス』の個室がどうなっているのか調べてみました。
多くの『脱法ハウス』が家賃に光熱費込みで、1ヵ月に数万円の家賃を納めれば住み続けることができます。都内でも有数のビジネス街などに、数万円で住めるというメリットはかなり大きいものではあります。また、鍵付きなので最低限のプライバシーは守ることができる、という話もあります。
しかしながら、壁は簡易的な仕切りで作られているため、天井と壁の間に隙間がある場合が大多数だそうです。ですから、他の人の寝息、くしゃみ、せき、食事をする音といった生活音が絶えず聞こえてきて、心が休まらないでしょう。
個室内にて携帯電話で話すこと、テレビやラジオ、ステレオをそのままかけることなどは禁じられているという驚きのルールには、思わず耳を疑ってしまいます。他の人の息遣いがそばで聞こえてくるようなスペースで、リラックスするのは至難の業でしょう。
一般のシェアハウスであれば、当たり前ですが、個室でのテレビ視聴や携帯電話での会話を制限されることはありません。
ちなみに、『脱法ハウス』も名目上は禁煙とされています。ですが、そのルールを守っていない人も多く、個室の中にいると、どこからともなくタバコの匂いが……ということも頻繁にあるそうです。
このような環境下では、寝たばこによる火の不始末などが起こらないとは言えません。普通のシェアハウスであれば、きちんと分煙されていますし、火災時の避難経路も明確にされています。
個室の中は、ガランとしていて何もないとされています。
一般的なシェアハウスならば、ある程度の備品は用意されています。通常ならばベッドやテーブル、簡単な収納家具くらいは備え付けられているところも多いものですが、『脱法ハウス』は照明すら用意されていないところもあります。このようなハウスの場合には、ライトは自分で持ち込むしかありません。ベッドなどを置くスペースももちろんありませんから、布団を買う余裕がない場合には、アウトドア用のマットや寝袋で寝るしかないという人もいるようです。
お風呂やトイレなどはもちろん共用です。風呂は浴槽なし、コインシャワーが設置されているところがほとんどです。なんと洗濯機がないところもあり、その場合には入居者は自分でコインランドリーを利用する、もしくは手洗いをしてしのがなければいけません。
法律をちゃんと守っているシェアハウスでもコインシャワーのところはありますが、洗濯機は必ず設置されています。
このように、「激安シェアハウス」と謳っておきながらも、その環境は入居者を満足させてくれるものとはいかないようです。
一般的にシェアハウスと呼ばれる物件は法律を守り、きちんとした運営を貫いています。『脱法ハウス』のような物件を間違っても選ばないように、家賃の安さだけを重視せず、内見をして、環境をしっかりチェックしてから契約・入居するようにしましょう。