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シェアハウスに食客制度を導入しよう~才能と賃料の等価交換~

地方から首都圏で暮らすようになってから驚いたことは、意外と定住地を持たない人がいることです。アパートを借りるお金を稼げていなかったり、ノマド生活を求めてだったりと、理由はさまざまでしょうが、これまでに10数人と出会っています。そして皆、面白いんです。芸術など一芸のスキルが半端ありません。そんなときに思ったのが、「こんな人たちをシェアハウスに招いたら楽しいに違いない」ということでした。そこで、考えたのが「現代版食客」制度です。



食客とは!?

食客とは、中国の戦国時代に広まった風習で、貴族たちが才能のある人物を客として遇して養う代わりに、主人を助けるというものです(Wikipediaより)。食客=居候という解釈もあります。日本では、才能ある芸術家を養う代わりに、主人のために作品を作るというイメージもあるかもしれません。有名どころでいうと、食客を向かい入れた側としては、夏目漱石や勝海舟、食客だったのは芸術家・料理家などの顔を持つ北大路魯山人です。



シェアハウスに食客を迎え入れる!!

さて、シェアハウスに食客を招くとはどういうことかというと、才能ある面白い人を無償で住まわせる代わりに、その才能(スキル)を大家さんに提供するということです。そのスキルは、アートでも、料理でも、音楽でも何でも良いでしょう。対価を払う訳でなく、物々交換でもなく、“物技交換”をするというコンセプトです。これには、結構メリットがあると考えています。以下でお互いの立場から考えてみましょう。



まずは、才能があってもお金がない人側から

何と言っても、金銭を支払うことなく住居を確保できることは大きいでしょう。素晴らしいスキルを持っているだけでは、稼ぐことができません。社会に認知されるまでは、辛抱強く我慢することもあるでしょう。そのような不遇の時に、大家さんがそのスキルと部屋を交換してくれるというのはありがたいはずです。



大家側としては?

物件の価値向上に繋がる可能性があることです。近年のシェアハウスブームで物件の供給過多にある現在、集客で苦労することも多いと聞きます。そこで必要なのが、差別化です。スポーツジムなどのハード面の売りも良いですが、才能ある人がいるというのも売りになるはずです。シェアハウスの入居を検討している人は、共有部分の充実だけでなく、コミュニティを求めている人も多いのです。また、空き室としておくよりも、無料でも才能ある人を住まわせた方が上記のメリットはあるのではないしょうか?

起業家や料理家・漫画家を目指す住人を募集するシェアハウスはありますが、才能の可能性を感じる人物(食客)を迎え入れるというのは新しいと思います。経営コンサルタントの大前研一氏は「人間が変わる方法は3つしかない。 1番目は『時間配分を変える』、 2番目は『住む場所を変える』 、3番目は『つきあう人を変える』 。この3つの要素でしか人間は変わらない」と述べています。才能ある人物がいるというコンセプトのシェアハウスは、自分が変わるきっかけになるかもしれません。

この記事を書いた人

新聞社での社会部記者を経て、現在はコンテンツマーケティングを企画制作する 会社でライターのディレクションなどを行っている。また、関東の大規 模シェ アハウスに拠点を置き、フリーで請け負うライター業務に関しては専らリビング で執筆している。双子座、B型、三人兄弟の三番目。

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