SHARELIFE MAGAZINE

シェアライフマガジン

2年間のシェア生活から見えて来た、シェアハウスの新しい可能性

初めてのシェア生活も2年が過ぎました。それまではマンションでの一人暮らしです。シェアハウスと異なり、マンションは一つ一つの住戸が閉鎖的な構造の集合住宅で、誰にも干渉されない気楽な生活を楽しんでいました。そこからのシェア生活。他人との共同生活は、いろいろと気を遣って大変な一方、普段ではあまり関わることがない年代と接する機会が増えて刺激もたくさんありました。このシェア生活から感じたことや見えてきたシェアハウスの今後を紹介します。


シェアハウスの新しい可能性


シェアハウスは現代版長屋生活!?

まず思ったのは、これはかつての長屋での生活や付き合いのリバイバルではないかということです。長屋とは、複数の住宅がつながった建物で玄関は各戸別々ですが、水回りの井戸やトイレは共同で使用する集合住宅のことを言います。共同設備があると、自然と交流は生まれるもの。主婦たちが家事の合間に集まってするおしゃべりのことを「井戸端会議」って言いますよね? 実はこの言葉は、長屋生活から生まれているんです。



井戸端会議とは、かつて長屋の女性たちが共同井戸に集まり、水くみや洗濯などをしながら世間話や噂話に興じたさまをからかって言った言葉です。江戸時代までは集合住宅そのものとして、その後も長く集合住宅の様式として残った長屋では、水を供給する井戸は長屋の共同設備であり、ここでは飲料水はもちろん炊事・洗濯から行水に使う水までも求めた。(Wikipediaより)


また、井戸は利便性を考えて、長屋の生活道路の中央付近で比較的広い場所に作られることが多かった。井戸の周りは自然と人が集まるようにもなり、そこに住む子供もこの周りで遊んだりもしたようです。長屋の住人全員が家族のような存在となり、自分の子供かどうか関係なくみんなの子としてみていたようです。


遠い家族より近くのシェアメイト

最近ではシングルペアレントが互いに助け合って生活するシェアハウスも登場してきていますが、今後はシングルペアレントだけが対象にはならないでしょう。現代では核家族化などで、子守をお願いしづらいのが現状です。さらに保育所もいっぱいで、公的機関にも預けられない。「遠い親戚より近くの他人」ということわざがあるように、いざというときに頼りになるのは、近くのシェアメイトということになるのではないでしょうか?

自分はまだ子供がいませんが、現在のシェアメイトになら安心して任せられます。一緒に生活しているなかでの信頼関係が築けているのかもしれませんが。さらに子供にもメリットがあるはずです。少子化で一人っ子も増えてきているなか、保育所や学校以外でも集団生活をすることから、他人への気遣いなどを自然と身に付けることができるでしょう。

少し前にはベビーシッターが預かった幼児を殺すという痛ましい事件もありました。預ける知人が誰もいなく、匿名性の高いインターネットでシッターを探したことが批判されています。


新たな共同体の可能性は?

シェアメイト同士の付き合いだけでなく家族も含めた新しい共同体。今後のシェアハウスはこのように広がっていく可能性もあるでしょう。シェアハウス自体が現在のように認知されたのはここ数年の話です。最近は親元から離れた最初の一人暮らしが、アパートやマンション、寮と並んでシェアハウスも選択肢となっています。シェアハウス入居のハードルはグッと下がっています。

家族でシェア生活も同様ではないでしょうか? 昔の村、団地、新興住宅とコミュニティが変遷しても、「地域で見守りみんなで育てる」という相互扶助の精神はその大小はあるにしろ続いてきました。この精神は、新たな共同体ができても残ることでしょう。そして、「他人との絆をどれだけ求めるか」によって、一戸建て、マンション、団地、シェアハウスの棲み分けができ、シェアハウスの可能性が広がっていくと感じています。

この記事を書いた人

新聞社での社会部記者を経て、現在はコンテンツマーケティングを企画制作する 会社でライターのディレクションなどを行っている。また、関東の大規 模シェ アハウスに拠点を置き、フリーで請け負うライター業務に関しては専らリビング で執筆している。双子座、B型、三人兄弟の三番目。

最近書いたコラム